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ある平凡な主婦の、少しの追憶(44/50)

2007年07月24日 10時16分07秒 | ある平凡な主婦の、少しの追憶(一部R18)
母から3つの箱を渡された。
結婚前に私が使っていた部屋を整理していたら出てきたらしい。
中味を確認して、いるものと捨てるものにわけなさい、という。

一つ目の箱はカセットテープ→すべて処分
二つ目の箱は年賀状や手紙→とりあえず取っておくことにした。

そして三つ目の箱には・・・色々なものがギッシリと入っていた。
小物入れ、指輪、ネックレス、携帯ストラップ、プリクラ帳、写真、手紙・・・
すべて彼からもらったものや彼との思い出の品だった。

「懐かしい・・・」

思わずつぶやいた。
もっと胸がつぶれそうになるかと思ったけれど、
案外と大丈夫だった。
その大丈夫さ加減からいっても、
本当の意味で彼のことを吹っ切れてきたんだな、と思う。


八年前、彼とはもう連絡をとらない、と決意した夜、
すべての思い出の品を箱の中に詰め込んだのだ。
号泣しながら。

とてもつらい作業だった。
二年の間に、あちらこちらに彼との思い出は散らばっていたので、
部屋中を徹底的に探しつくしてすべてを箱に詰めたのだ。

本当につらかった。
息をするのもつらいくらいだった。

あのつらかった日々から救い出してくれたのは・・・・・・

「そういえばそうだよ・・・」

今の夫だった。すっかり忘れてた・・・。
コメント
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