時計を見たら、もう4時半だった。
明け方になると長男が時折目を覚ますので、そろそろ帰らなければならない。
眠っている彼の腕をすり抜けて、急いでシャワーを浴びる。
洗面所の鏡をみて、あ、と思った。
そういえば、スッピンだった・・・。
8年前と比べて、張りの無くなった素顔。
嫌になるけれども、しょうがない。
歳を取るというのはそういうことだ。
ため息をつきながら、そこにあった化粧水をつけようと、手を伸ばしかけて・・・
「・・・・・・あ」
その隣にあった剃刀を見つけて、ドキリとした。
そうか。そういえば、ここだった。
8年前、別れた後も関係を続けていた時に、会っていたホテル。
体を重ねているときは、燃えるほど情熱的であっても、
彼の心の中には、新しい彼女の姿があった。
行為が終わると、途端にその真実に打ちのめされる。
最後に会った時も、こうして先にシャワーを浴びた。
そして、ここにあった剃刀を見て思ったのだ。
今、ここで手首を切ったら、
彼は私の元に戻ってきてくれるだろうか?
衝動にかられて、剃刀を袋から出した。
その刃先を見つめていたら、彼が音もなくやってきた。
そして、後ろから優しく抱きしめられ、
「・・・・・・ごめん」
気が遠くなるほど、優しい声で言われたのだった。
私が欲しいのは、そんな言葉じゃない。
ごめん、なんて言わないでよ。
ごめん、なんて言うんだったら、彼女と別れてよ。
メチャクチャに泣きながら、彼の胸を叩き続けた記憶が蘇る・・・。
明け方になると長男が時折目を覚ますので、そろそろ帰らなければならない。
眠っている彼の腕をすり抜けて、急いでシャワーを浴びる。
洗面所の鏡をみて、あ、と思った。
そういえば、スッピンだった・・・。
8年前と比べて、張りの無くなった素顔。
嫌になるけれども、しょうがない。
歳を取るというのはそういうことだ。
ため息をつきながら、そこにあった化粧水をつけようと、手を伸ばしかけて・・・
「・・・・・・あ」
その隣にあった剃刀を見つけて、ドキリとした。
そうか。そういえば、ここだった。
8年前、別れた後も関係を続けていた時に、会っていたホテル。
体を重ねているときは、燃えるほど情熱的であっても、
彼の心の中には、新しい彼女の姿があった。
行為が終わると、途端にその真実に打ちのめされる。
最後に会った時も、こうして先にシャワーを浴びた。
そして、ここにあった剃刀を見て思ったのだ。
今、ここで手首を切ったら、
彼は私の元に戻ってきてくれるだろうか?
衝動にかられて、剃刀を袋から出した。
その刃先を見つめていたら、彼が音もなくやってきた。
そして、後ろから優しく抱きしめられ、
「・・・・・・ごめん」
気が遠くなるほど、優しい声で言われたのだった。
私が欲しいのは、そんな言葉じゃない。
ごめん、なんて言わないでよ。
ごめん、なんて言うんだったら、彼女と別れてよ。
メチャクチャに泣きながら、彼の胸を叩き続けた記憶が蘇る・・・。