知人と映画「サクラサク」の舞台挨拶上映会に行ってきました。
映画は「利休にたずねよ」と同じ監督(田中光敏監督」ですが、「利休~」が耽美風、美を追求する話だったとすれば、こちらはまったく違って「家族再生」の物語です。
仕事一筋の主人公(緒形直人)の仕事場に、妻(南果歩)から突然の電話がかかってきます。
父親(藤竜也)の粗相(そそう)に動転して「あなた、どうにかして!」というもの。
妻は、自分の父親が認知症にかかって外を出歩こうと、粗相をしようと、まったく手助けしようとはしない~~。
「なぜなんだ、ひどい妻だな~~」と思う観客に、次第にその理由が明らかにされるのですが、主人公(緒形)が改めて自分の家族を見直してみると、どうしようもなく崩れ、冷え切ったものになっていた~~。
ガーデニングしか興味がない妻(南果歩)、フリーターの長男、漫画しか読まない(?)長女という家族が徐々に絆を取り戻していくのですが、そのキーワードになるのは「父親の子どものころの記憶」。
光と影の桜。
父の記憶は本物なのか、実は認知症が起こした願望なのかを探っていくプロセスは、なかなかに面白いものがありました。
記憶をたどるロードムービー、旅の最中に、家族が徐々に再生していくというストーリーです。
認知症の父親の役を演じたのは、40年も前に「時間ですよ」という人気番組で、いつも篠ひろ子さん営む小料理屋に黙って座っている「謎の男」という設定で人気を博した方です。
いや「愛のコリーダ」が代表作でしょうと、まあ、若い人はまったく知らない回顧の方向に行きたくなるのを、グイッと力ずくで現代に戻すと、いやあ、その方が認知症で、粗相、ですよ~~。
ところが藤さん、舞台挨拶では「僕がいままで演じたなかでは一番カッコいい役だと思います」
まあ、なんてカッコいいお言葉でしょう!
いや、確かに、本当に。現在72歳。老いて、なおカッコいい。
会場では拍手が起きましたよ。
老いて、なお麗し~。
老いて、なお楽し。
映画のあとは、日比谷の話題のお店「ルパン・コディアン」でランチ。
私は「キッシュ・ランチ」
娘と変わらない年齢の可愛い、可愛い仕事仲間。
桜はほぼ満開、桜にに因んだ作品なので、今年最後の桜コーディです。
きもの・梅模様訪問着
妻役の南果歩さんの「梅ちゃん先生」出演(母親役)に因んで裾梅模様。
帯・源氏香に桜模様の西陣
桜絞り帯揚げ
市松帯締めに桜の帯留,帰りに、真ん中の花がなくなっていました。私の場合、サクラサクではなく散ったのね~~。
というわけで、今年の桜はこれにて終わりです。
それでも、まだまだ「サクラサク」
悲しいことも嬉しいことも起きる日々の暮らしなかで、何を思い出し何を記憶していくかがその人を作っていく、その人の未来を作っていく~~。
そんなことをじんわりと感じさせてくれた映画でした。
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