なぜ人は着るものに深い関心を持つのかなあとは
自分が何かを着たり買ったりするときに
思うこと。
着物はその大きな関心です。
洋服には興味を失いつつあるこの頃ですが、
素敵な本を見つけた!
「繕い裁つ人」(池辺 葵著・講談社)
全六巻。
夜寝る前に少しづつ、ベッドでページを開きながら
幸せな眠りにつくことができました。
主人公は小さな裁縫店営む市江さん。
一人ひとりの人に合わせて洋服を作る
今では珍しい仕立て師ですね。
時代に逆らい、時代に背を向け、と
書くとすごく古いイメージを抱くけど、
まあ、確かに頑固ではあるけど、
ほかを否定するわけでもない。
抜けているところも多く、そこも含めて
魅力的。
「衣」(ファッションではない)に関して
これほど共感を得たのは初めてかも。
嬉しい。
ここでは、彼女の(というか師匠である祖母の)
衣服哲学をご紹介。
「洋服はその人にそぐわなければ着こなしが
難しい。だから決してその人に遠いものを
作ってはいけない。
でも、あまりに寄り添いすぎてもいけない。
なぜなら、洋服を仕立てようとするとき人は
繰り返す日常に飽き飽きしていて、
自身さえ変えたいと
足を運んでくるのだから~~」
これって、着物に通じます(笑)
着物を着始めた頃のわたしはまさに
こんな気分だったなあ。
たとえば、人生にただ一度のオーダーをと
依頼にきた人が
「普段着をお仕立てするなんて恵まれた人が
いるんですね」との言葉に
「どうでしょう。恵まれているって
どういうことを言うんでしょうか」
「経済的には恵まれていても、
辛いとか悲しいときに
仕立てる方もいますから」と
静かに反論~~。
自分が作る洋服で街を埋めつくしたいと
願う野心家には
「私はたった一人の人に
満足してもらうものが作りたい」
と言いながら、
「客に合わせないのはむしろ覚悟がいる」と
助力を惜しまない。
腕は確かで、しかも柔軟でドジで面白い~~。
好きだなあ、市江さん。
映画では中谷美紀さん。
映画はまだ見ていないのですが、
こちらはファッションと
映像が素敵だとか。
そのうち見るつもり。
自分に一番遠いせいか
職人さんって憧れる~~。
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いつも応援ポチ
ありがとうございます。
励みになります。
礼装もご自分で着付けなさるんですね。私は姪などの式で着付けしてもらって以来、もう他人に着付けてもらうのは嫌だと思うようになりました。だからまだの事ですが、子供式も嫌だなあ、海外でやってほしいとすら思うように。自分で着ようかな~~。
私面と向かってあれころ言われる分にはまったく平気なんです。反論できるから(笑)。でも影で言われるのはちょっと怖いですね。特に子供がらみなどでは。でも皆様の励ましと賛同を得てみると、やはり嬉しく安心な自分に気づきました。ありがとうございます。
コメントありがとうございます。私の子どもの頃にはそんな仕立てやさんが結構ありました。私の母も洋裁が好きで、知り合いのものなどお直ししていました。私は子供の頃、そんな母の作ったものばかり着ていた、その反動で思春期には既成の安価なものに憧れたりしたものです。でも今は、こんな仕立て屋さんいいああ、と。今日は晴れさんのブログはアメーバ会員じゃないとコメントできないので、こちらにコメントいただけると嬉しいです。博多のバッグも素敵でした。私も作っていいですよね(笑)
こちらこそ素敵なコメントありがとうございます。私の記事がいいのではなく、市江さんの衣服に対する気持ちが素晴らしいのです。共感嬉しいです。
同世代で着物を日常に着るものとして、
大いに共感しながらブログを拝見しています。
断じて完璧な着付けではないし、
それを目指してもいなくて、
それでも、礼装ですら、自分できてでかけます。
お祝いの気持ちも、
着物自体が表現してくれていると思うから。
細かいルールを、面と向かって指摘する人も、
影で言ってる人もいるとは思いますが、
それは、その人自身が、
厳しく苦しく着物を着ているんだな、
と考えて落ち込まないようにしています。
難しく考えて、着物から離れていく人もいます。
私には、紫苑さんと着物との関係が、
とても心地よくて、
いつも参考にさせていただいています。
私が幼いころ住んでいた街中の家の隣が、小さなテーラーでした。高級テーラーではなく、よくあった洋裁店位のお店でしたが、本当にお仕事が丁寧で、一生に一度か二度くらいしか誂えの服を作らない方が、遠慮がちに来られるのを、やさしく包んで応対される、そんな仕立て屋さんでした。思い出します。
素敵です…。