東の赤い星

　あまりに蒸し暑い天気が続くので、少しは涼しい話も欲しいところである。

　ところが、これがなかなか無い。

　ボンヤリと窓から外を眺めていたら、一際大きく赤みを帯びた星が見えた。

　そう言えば、火星が何年ぶりかで地球に接近していたそうで、数日の違いだからいつもより近いだろうとカメラをかまえた。

　

　二階のベランダの網戸越しに、夜景モードで目一杯ズーム撮影。

　モニターで確認すると、十字に虹のような光が入っている。

　ベランダに出ると蚊が来るので、中から網戸越しに撮したのが不味かった。

　アニメの星のようでこれは面白いと相方には喜ばれたが・・・。

　表に出て、駐車場の脇に三脚をセットして火星を狙うことにした。

　

　なにやら映っているが、「これ火星です」と言われなければ、他の星とも町の灯りとも判別は出来ないしろもの。

　以前、皆既月食を撮したことがあるが、あの時は月のクレーターもハッキリ映っていた。

　やはり火星は遠い。

　人類の有人探査も、本気で計画されているようだが、希望なのか危機意識のなせるわざなのか。

　そう言えば、堤防沿いの道を夜散歩すると、以前は見えていた天の川が見えなくなって久しい。

　アスファルトにはまだ、余熱があって熱帯夜はまだまだ続くのだろう。

　涼しくなる話も、結局は暑くなってしまった。


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