今日も、限りなく朝に近い午前中で、30度を超えていた。
以前から予定していた、阿蘇・産山村の扇棚田を見に行くことに。
いわゆる、暑い時のお出かけは、海ではなく山でしょう、という単なるノリ。
つい2~3年前に出かけたと思っていたが、どうやら考え違いで10年近く前のことだったと気がついた。
とにかく複雑なルートであった思い出はある。
ナビでも入力できず、私の動物的勘というやつにかけてみることに・・。
熊本からR57~ミルクロード~やまなみ道路を経て産山の入り口で案内板を凝視。
産山の村名のごとく、ここは山の生まれるところ、気温はさわやか23度。
久住・瀬の本の山系から幾筋もの稜線が南西方向に連なって、その稜線沿いに小さな道路が走る。
一本道路を間違うと、稜線の間はドンドン広がって隣の稜線上の道路に行くにはかなり苦労する。
野辺のヒメジオンとアザミに励まされ、相方のスマホの音声案内でかろうじて進路を把握。
予定していなかった「池山水源」にも立ち寄った。
(池山水源)
水源の水のように爽やかな、バイクに乗った青年に「ここの水は飲める?容器に汲んでもかまわない?」の2つの質問を受けた。
「はいはい、両方ともOKです」と解答、「汲んだり飲んだりするための柄杓が供えられている筈だけど・・」と言いながら見回したが無い。
そう言えば、コロナのために神社だって手洗いの柄杓は無くなっていたなと、思い出した。
青年と別れ、2度ほど道を間違えては引き返し、恨めしそうに牛を眺めた。
モウ~いけません、と途方に暮れたが、再度スマホに聞けば間違えたと思った道に案内された。
え~い、ままよと舗装も無い狭い牧場の稜線を走ると、予期せぬところで突然、目的地が眼前に広がった。
(扇棚田)
日本棚田百選にもなっている、産山の扇型の棚田がいきなり眼前に広がってビックリ。
下の方を走る道路が、予定の進入路だったのに、いきなり隣の高台の撮影ポイントに着いてしまった。
何年か前に来たときは、この撮影ポイントまでエッチらオッちらと下から歩いて登ったのだった。
少し霞んでいたが、スッキリしていれば遠く宮崎県の祖母・傾山系も見える筈だが・・。
棚田を見下ろす隣の稜線では、牛がのんびり休憩中。
大自然を見下ろしながら、持参した弁当を食べた。
訪れる人も三々五々とやって来て、知る人ぞ知るポイントなんだと痛感。
高台を降りて、正規の下の道に降り、舗装道路を少し走ると山吹水源に着く。
「何年か前に来たときは、この道は行き止まりだったけど・・」と相方が言い出した。
ちゃんと相方の言うとおり行き止まりで、広い駐車スペースがありそこから徒歩で水源に向かう小道が。
今回は、水源池は省略して少し下流の水くみ場へ。
(山吹水源からの水)
(きのこの群れ)
小さな樋が設置されていて、水か汲めるようになっている。
その樋からほとばしる水しぶきで辺りは湿っている。
木の根元には、キノコがびっしり。
キノコは余程自信のあるものの他は、手を出さないことが肝要。
帰りは間違えないように、知っている「阿蘇望の里」を目的地に設定してナビ頼み。
移動途中に、特大の「鹿」が道路に飛び出し、車の直ぐ前を横断して走り去った。
そう言えば、阿蘇ではかつて「イノシシの子供」や「タヌキの親子の行列」などに出くわしたことがある。
今回もタヌキの交通事故死を1件目撃したので、動物は要注意。
到底ナビ無しでは脱出不可能なルートを経て、南阿蘇の「阿蘇望の里」に到着。
(南阿蘇:道の駅「阿蘇望の里」)
コーヒーとジェラートという珍なる組み合わせで休憩。
少し離れた場所で、陽気な掛け声と共に猿の芸が披露されていた。
(猿回し劇場の出張演芸)
利口な猿と相方の軽妙なやりとりが続き、テーブルやベンチの見物客の笑い声が響く。
山口県の周防猿回しが、伝統芸を絶やすまいと阿蘇の麓の赤水付近に劇場を作ったのはもうかなり昔の話。
3つある阿蘇山上への登山ルートの一つ、赤水ルートの沿線にあって、かつては観光バスなどの団体客も訪れていた。
ところが、震災でことごとくアクセスが寸断され、やっと開通したかと思えば今度はコロナが追い打ち。
待てど暮らせど来客はないというわけで、出前の演芸に活路を見いだそうという話。
料金はおいくら、ということもなく、皆さんなにがしかのご芳志。
さてさて、今回もいろいろあって日帰り避暑のお出かけは終わった。
特産の、肥後の赤牛の肉を買って今夕は焼き肉の予定。
大草原のンモウ~と鳴いている牛は食おうと思わないが、肉になれば話は別。
人間は誠に勝手なのである。
「風景の向こう生きとし生けるもの」・・・・しろ猫