お爺さんは庭で芝刈を

　隣の芝生は青いと言ってはいられなくなった。
　伸び過ぎて青くなり過ぎ。
　おまけに猫がいた頃の習性で除草剤など撒かないので雑草もびっしり。
　取り敢えず、壊れかけた芝刈り機をゴロゴロ押して汗ビッショリ。
　隅の方は芝刈り機も入らないので、おおきな芝刈りハサミでチョキチョキ。
　となりが散髪屋さんなので何だかハサミの技を競っている雰囲気も漂ったりして・・・。
　
　庭には芝以外は何も植えないぞ手入れが大変だから、などと若い頃は思ったものだが実は芝の方が大変。
　
　芝ばかりでもなんだから、などと小さい木などを隅に植えていくうちに、繁茂して手入れの手間は２～３倍になってしまった感じがする。
　それに、芝刈り機本体は丈夫で故障もしないのだが、刈り取られた芝が放り込まれる篭の部分はあっさりと壊れてしまって、もう何年にもなる。
　篭だけは売っていないと店にもあっさり言われて自作の段ボール製をもう何年も使っている始末だ。
　「買い換えたら？」と配偶者は言うが、1000円もしないような一プラスチック部品が壊れたために、ン万円した本体を見捨てることが出来るもんか、なのである。
　そう言えば、最近の電化製品や事務用品にも似たようなパターンがあって、店員は「買い換えた方が早いですよ」などと臆面も無く言う。
　クソっ！抵抗してやる！・・・思いを胸にお爺さんは又もや庭に芝刈りに、お婆さんは笑って部屋でお茶を飲んでいましたとさ。
　めでたし・めでたし。