白雲去来

蜷川正大の日々是口実

十九歳の烈士に頭が下がる。

2012-08-22 11:55:44 | インポート

八月二十一日(火)晴れ。

終戦の日の朝、滋賀県の大津市役所で、中学二年生の男子生徒が自殺した問題の対応に当たっている大津市教育委員会の澤村憲次教育長が、埼玉県在住の十九歳の大学生にハンマーで頭を殴られた。その大学生はその場で逮捕され、「いじめ問題に関し真実を隠していると思い殺してやろうと思った」と供述しているそうだ。

幸いに?教育長は頭を切る程度のけがで病院で手当てを受けているとのこと。捜査関係者によると、男子大学生は動機について、澤村教育長を「許せなかった」などと供述する一方で、「無関係な一般人を誤って攻撃しないように考えた」。との趣旨の供述もしているという。

大津署は、男子大学生が市役所を下見したり、市教委定例会を傍聴するなどした上で、このリストの中から確実に攻撃できる人物として教育長を選んだ可能性があるとみて、慎重に裏付け捜査を進めていると報道にあった。滋賀県警は学生が定例会を傍聴し、沢村教育長の顔や庁舎内の構造を事前に確認していたとみて調べる。

この大学生の行為に対して、津市の女性市長は、「何があっても暴力は許されない」とコメントしたそうだが、笑わせてはいけない。そもそも、この事件は、「いじめ」という「暴力」が無ければ起こらず、また当初から教育長が厳正かつ適正な対応をしていれば起こることのなかった事件である。

私は、この十九歳の大学生をもっと評価して良いのではないかと思っている。むしろ良くやったとさえ思っている。わずか十九歳でありながら、市役所を下見したり、市教委の定例会を傍聴して用意周到に準備をしている。もっと驚いたのは、「無関係な一般人を誤って攻撃しないように考えた」と供述しているのである。この覚悟は、正に武士の心構えであり、烈士と呼ぶのにふさわしいと私は思っている。

ネットなどで「言うだけ番長」が幅を利かせる中で、この青年は、良く決起したと思う。その後、ほとんどその事件の報道がされないが、恐らく当局は「変人」の行為として片づけたいのだろうが、近くの方は、是非とも、「その後」の事について教えてほしいものだ。彼の獄中での健康を願わずにはいられない。

今日は、午後から、子供の汗疹がひどいので、皮膚科に行った。二時間も待たされたおかげで、先日購入した「ナチ戦争犯罪人を追え」をほぼ読了した。ほぼと言うのは、この本、訳がとても難解なのである。たとえば、「だがアルゼンチンは、その仕事にとって彼ほどふさわしくない者を選ぶことはできなかったろう」とか、「アイヒマンの振る舞いは、ハンナ・アーレントのような者が、彼を『全体主義的人間』の権化、紙鋏をAからBに移すのと同じ非良心的な良心をもって人間をガス室に移送することが取り仕切れる平凡な役人だとするのを容易にした」。これって分かります?。こんな訳がかなりの部分あり、せっかくの文章を余計に分かりにくくしている。もっと読みやすく推敲すれば、520頁も必要がなかったのでは、と思った。疲れた本だった。

 


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