二月二十一日(火)曇り。
私の友人のご母堂は百七歳という高齢である。今月の初めに血圧が極端に下がり危険な状態になったが、何とか持ち直したそうだ。友人は、私より一つ下の独身。母一人子一人での、いわゆる「老々介護」をしていると、自嘲気味に話していた。
もう一人の後輩のご母堂は八十二歳。認知症で、仕事の合間に、姉と交代で食事の世話をしていると言う。私の母は、八十二歳の時に脳梗塞で倒れ、意識の全くないままに二年半寝たきりの後に亡くなった。私の場合は、父が母の介護を付ききりでしてくれたおかげで、生活に支障はなかったが、もし父がいなかったならば、大変な労力を強いられたのに違いあるまい。もちろん実母のことだから、何を置いても看護するのが当然なのだが、どこかの施設にお世話にならなくてはならなかったと思う。今更ながら、父の介護に頭が下がる。その父も母が亡くなってから、三年後に亡くなった。
還暦の子供を親が祝う長寿国。とは良く言ったものだ。賛否はあるだろうが、私は、安楽死を認めて貰いたいと思っている。意識もなく、快復する見込みも無かったら、安楽死をさせて頂きたいものだ。元気な時に本人と家族の同意を取っておく。嫌な人は、止めればよい。寝たきりの病人を抱えた家族が、どれ程の経済的、精神的な負担を負うのか。それを考えたら、治る見込みのないものなら、医者の手で安らかに眠らせてもらいたいと思っている。
また、私の長年の同志が、今癌と戦っている。二年ほど前に胃癌の手術を行い、経過も良く、全快したと思っていたら、リンパに転移しているという診断が出た。まだ私よりも二つも若い。健康診断は大切であるが、毎年行っていても、癌になる人もいる。もうそれは運命としか言いようがない。それでも今は、医学が発達しているので、助かる場合も多いと言うが、その戦いの結果は、本人次第である。
私の友人で、沢木耕太郎さんの「一瞬の夏」や、アリスの歌「チャンピョン」のモデルとして有名なカシアス内藤さんは、数年前に喉頭癌と診断された。現在も抗がん剤の投与をしているが、治療の過程で、新聞社の取材にこう答えた。「今度の(癌との)戦いは、勝たなくてもいい。ドローでいいんだ」と。その闘争心が内藤さんを支えているのだろうと思う。
五・一五事件の三上卓先生の代表句に、野火赤く人渾身の悩みあり。というものがある。渾身の悩みと対峙しながら生きている友らがいる。とても安易に「頑張って」などとは言えない。
夜は、大人しく、京急の井土ヶ谷駅前のマルエツ」と言うスーパーで買った焼き鳥(そこそこ美味しかった)を肴に、酔狂亭で独酌。
私の友人のご母堂は百七歳という高齢である。今月の初めに血圧が極端に下がり危険な状態になったが、何とか持ち直したそうだ。友人は、私より一つ下の独身。母一人子一人での、いわゆる「老々介護」をしていると、自嘲気味に話していた。
もう一人の後輩のご母堂は八十二歳。認知症で、仕事の合間に、姉と交代で食事の世話をしていると言う。私の母は、八十二歳の時に脳梗塞で倒れ、意識の全くないままに二年半寝たきりの後に亡くなった。私の場合は、父が母の介護を付ききりでしてくれたおかげで、生活に支障はなかったが、もし父がいなかったならば、大変な労力を強いられたのに違いあるまい。もちろん実母のことだから、何を置いても看護するのが当然なのだが、どこかの施設にお世話にならなくてはならなかったと思う。今更ながら、父の介護に頭が下がる。その父も母が亡くなってから、三年後に亡くなった。
還暦の子供を親が祝う長寿国。とは良く言ったものだ。賛否はあるだろうが、私は、安楽死を認めて貰いたいと思っている。意識もなく、快復する見込みも無かったら、安楽死をさせて頂きたいものだ。元気な時に本人と家族の同意を取っておく。嫌な人は、止めればよい。寝たきりの病人を抱えた家族が、どれ程の経済的、精神的な負担を負うのか。それを考えたら、治る見込みのないものなら、医者の手で安らかに眠らせてもらいたいと思っている。
また、私の長年の同志が、今癌と戦っている。二年ほど前に胃癌の手術を行い、経過も良く、全快したと思っていたら、リンパに転移しているという診断が出た。まだ私よりも二つも若い。健康診断は大切であるが、毎年行っていても、癌になる人もいる。もうそれは運命としか言いようがない。それでも今は、医学が発達しているので、助かる場合も多いと言うが、その戦いの結果は、本人次第である。
私の友人で、沢木耕太郎さんの「一瞬の夏」や、アリスの歌「チャンピョン」のモデルとして有名なカシアス内藤さんは、数年前に喉頭癌と診断された。現在も抗がん剤の投与をしているが、治療の過程で、新聞社の取材にこう答えた。「今度の(癌との)戦いは、勝たなくてもいい。ドローでいいんだ」と。その闘争心が内藤さんを支えているのだろうと思う。
五・一五事件の三上卓先生の代表句に、野火赤く人渾身の悩みあり。というものがある。渾身の悩みと対峙しながら生きている友らがいる。とても安易に「頑張って」などとは言えない。
夜は、大人しく、京急の井土ヶ谷駅前のマルエツ」と言うスーパーで買った焼き鳥(そこそこ美味しかった)を肴に、酔狂亭で独酌。