白雲去来

蜷川正大の日々是口実

老舗が消えて行く。

2019-06-07 18:13:55 | 日記
六月四日(火)晴れ。

大して通った訳ではないが、老舗が様々な理由で店を仕舞うと言うことは、寂しいことだ。好きな「酒のみ」ブログを読んでいたら、私の事務所の一山下にある、焼きそばで有名な、「私立探偵濱マイク」にも出ていた「​磯村屋​」が閉店したと知った。そのお店の前にあったパン屋「三貴屋」も前を通ってもいつも閉っている。ここもやめてしまったのだろうか。中学生の時に、学校の近くにあった中田のパン屋の味によく似ていて、(そのお店で一級上の水泳部のイノセノリコさんに会うと胸が高鳴った)懐かしさでたまに買って帰ったが、残念ながら家族には不評だった。

また、伊勢佐木町の老舗蕎麦屋、創業は明治でヨコハマ縁の作家、山本周五郎が贔屓にしていた「出嶋屋」が閉店してしまったとのこと。中華街の「安記」の前にあった喫茶店「ブラジル」も、つい最近店を閉めてしまった。店主が老齢で後継ぎがいないなどの理由があるのだろうが、町の歴史がポツリ、ポツリと消えて行くようで、何だか寂しさが募る。私の好きな伊勢佐木町の洋食の「コトブキ」も、オカアサンが、「主人が歳なので、調理場に立てなくなったら、閉めるかもしれませんね」と言っていた。まあ無責任な第三者なのだから、現実を受け止めるしかない。

考えてみれば、私が生まれ育った町で、子供のころから営業をしているお店などほとんどない。仕舞屋であった所は、いつの間にかビルが建ち、以前は何があったのだろうかと、中々思い出せない。私の好きな「やまと」など、親子二代で六十年も続いている店の方が稀なのだろう。夕方から東京行き。車中でつらつらそんなことを考えていた。

お世話になっている方から招待され、京王プラザの中華料理店にて豪華な食事。談論風発、楽しい一日だった。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

美は乱調にあり。

2019-06-07 16:23:06 | 日記
六月三日(月)曇り。

家人が全員出払った後に、のんびりと一人の朝食。マカロニサラダ、目玉焼き、ボイルしたウインナー、大根の味噌汁。昼は、カレーにオムレツ乗せ。夜は、カツオ(いくらかマシなものが手に入った)エビチリ、トマトサラダ、冷奴。お供は「黒霧島」。

その昔、日本大通りの県庁の近くにドイツ料理の「アルテリーベ」と言うお店があった。バンドが入っていてとても雰囲気の良い店で、良く通った。ソーセージの盛り合わせ、タルタルステーキ、アイスバイン。ブーツ型のグラスで飲むビール。いつの間にか閉店してしまい、お店のあった裏に、同じ名前のお店がオープンしたが、なぜかフランス料理のお店になっていた。アイスバインを食べたい時は、銀座の「ライオン」に行くことにしている。ちなみにアルテリーベと言うのは、昔の恋人という意味とのこと。

随分前のことだが、古書店で瀬戸内晴美の色紙が出ていたので、衝動買いした。私が買えるくらいなのだからさほど高い物ではなく、とても嬉しかった。まだ瀬戸内晴美が寂聴を名乗る前に上梓した。大杉栄と彼を取り巻く女性たち、そして最後の女性となった伊藤野枝のことを書いた『美は乱調にあり』、『諧調は偽りなり』の二冊。私が好きな本の中に『瀬戸内寂聴伝記小説集成』全五巻(文芸春秋刊)がある。伝記文学が好きで、出張中に読んだ心に残る本である。

買った色紙とは、「美は乱調にあり」。瀬戸内晴美のサインがある。書が好きで、と言っても芸術的な物や美術品などではなく、私の好きな人の書いた生きた書が好きなのである。眺めているだけで心が豊かになるから不思議だ。※瀬戸内晴美の色紙。周りは汚れではなく色紙の柄です。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする