3月9日(水)晴れ。
頑張ってブログを4日分更新しました。よろしかったら今日から4日間遡って開けてみて下さい。
わが日本は長寿社会となった。私の子供の頃は、60歳と言えば間違いなく「爺さん」だった。本当に60歳を過ぎたばかリだと言うのに腰の曲がった爺さん、婆さんが近所にいた。そのころの60代と言えば、皆さん明治生まれの人。関東大震災、大東亜戦争の敗戦を経験した世代。当然ながら食糧状態も衛生環境も、医療事情も今よりずーっと劣っていた。長寿、健康と栄養状態とは正比例するとは、識者の指摘するところ。今の60代よりも老けていても、その人たちのせいではない。
戦前の童謡に「船頭さん」と言うものがある。日本が真珠湾を奇襲し、米英に宣戦布告をした昭和16(1941)年に発表された歌だ。その歌の一番の歌詞は、「村の渡しの船頭さんは、今年六十のお爺さん」。と言うもの。今は、60歳の人に「お爺さん」と声を掛けたら嫌な顔をされるどころか、怒られるかもしれない。
では、現代では、幾つから「お爺さん」と呼んでも差し支えないのだろうか。もちろんお孫さんのいる「ジイジ」ではなく、単に年齢的にだ。ちょっと資料が古くて恐縮だが平成20年、日本人の平均寿命は男が80歳、女性が86歳とのことであるから、80歳を過ぎたら「お爺さん」と呼んでもさほど抵抗ないかもしれない。
これはご本人から聞いた話だが、先輩の犬塚博英さんが古希を過ぎたばかりの頃のある日の夜、酔って帰宅しようとしたらマンションの下で足を滑らして転んでしまったそうだ。そこに通りかかったのがジョギング中の親切な青年が、「大丈夫ですかか」と声をかけてくれて、マンションの自室の前まで送ってくれた。インターホンを鳴らし、「はぁーい」という奥方の返事に対してその青年が「お宅のお爺さんが、マンションの下で怪我をされました」。犬塚先輩は、「親切は嬉しいが『お宅のお爺さん』とは何だと」憤慨していた。聞いていた我々一同は大笑い。そういう私も他人ごとではなくなった。