スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

名人戦&演繹法

2006-04-13 20:33:49 | 将棋
 妙な問題(主催社の移行)が持ちあがった将棋の名人戦ですが,一昨日と昨日に第一局が指され,振り駒で後手になった森内俊之名人が谷川浩司九段に勝って先勝しました。
 指し手の中で気になったのが封じ手直前の初日の午後5時ごろの▲7四歩。これに対しては実際に指された△同歩のほかに△6四角もあったわけですが,△6四角と指すならかなり考えたいところ。封じ手は5時半で,もちろんルール上はいくら考えてもよい(先月の王将戦では佐藤棋聖が夕食休憩を挟んで封じた将棋もありました)のですが,さすがにそれはやりにくい。ということは,5時ごろの▲7四歩には△同歩を強要するような意味もあったと思われます。もちろん谷川九段がそこまで考えて5時ごろに指したかは不明ですが,考えていたのなら高等戦術ですね。どちらにせよ,森内名人はその時点で不利を感じていたようですが。

 第一部定理二八も第二部定理九も,「無限に進む」と締めくくられています。
 これは文字通りに結果の原因,原因の原因,その原因という連鎖が永遠に続くということですが,ここにはある消極的な意味があるのです。それはこのような帰納法(あるものからそれに先行するものを導く方法)によっては連鎖が延々と続くだけで,結局のところ,僕たちは何も確実には認識し得ないということです。
 スピノザは論理としては因果論、方法としては演繹法(先行するものから後発のものを導く方法)を用いるのですが,演繹法を用いなければならない理由の一端が,これらふたつの定理には含まれているのです。
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