スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

蒲生氏郷杯王座競輪&区別と内在

2025-01-26 17:08:22 | 競輪
 松坂記念の決勝。並びは深谷‐郡司‐岩本の南関東,古性‐岩津の西日本,山田‐小川の九州で佐藤と浅井は単騎。
 古性と郡司がスタートを取りにいきました。その後でちょっと牽制になったのですが,古性は最初から前受けをするつもりはなかったようで,誘導の後ろに入ったのは郡司。深谷の前受けとなり,4番手に古性,6番手に浅井,7番手に佐藤,8番手に山田で周回。残り3周のバックから山田が上昇し,ホームの入口では深谷の横に。深谷が突っ張ったので山田は引きましたが,外に出した古性が追い上げて,山田の外に並んで打鐘。4番手は山田,小川と順に古性を弾き,山田が確保。浅井がインから追い上げて小川の後ろに入り古性は7番手に。バックから浅井が捲っていくとそれに合わせて山田も発進。浅井は内に下りようとして佐藤と接触。佐藤,小川,岩津の3人が落車。残り1周のホームの出口から深谷との車間を徐々に開けていった郡司は山田を引き付けてから踏み込んで優勝。山田が半車身差で2着。郡司マークの岩本が4分の3車身差で3着。
 優勝した神奈川の郡司浩平選手は小田原記念以来の優勝で記念競輪21勝目。松阪記念は連覇で2勝目。2019年の共同通信社杯も当地で勝っています。このレースの注目点はふたつで,ひとつは深谷‐郡司という強力な並びを分断しにいく選手がいるかということで,もうひとつは仮に南関東勢がすんなり先行となった場合に古性が捲れるのかといううこと。だれも分断策には出ず,古性の位置取りが悪くなりましたので,郡司には最高の展開になりました。引きつけずに発進すれば岩本とのワンツーになったと思われますが,これは先行した深谷をなるべく上位に残すための走り方で,基本的に郡司はこのような走行をします。古性は深谷が突っ張ることを見越して,動かずに岩本の後ろを回っていた方がよかったでしょう。これは作戦の失敗だと思いますが,山田がよく頑張ったともいえると思います。

 このように考察を進めてくると,このことはこれまでに探究したことがあるいくつかの事柄とも深く関連しているように僕には思えてきました。
                        
 第二部定理七系でいわれているように,神が思惟する力Dei cogitandi potentiaは神が行動する力agendi potentiaと等しいので,ある形相的有esse formaleが何らかの属性attributumのうちに存在するなら,その観念ideaが思惟の属性Cogitationis attributumのうちにあることになります。このとき,書簡六十四および書簡六十六でスピノザがいっていることは,Aの属性のある個物res singularisの観念と,それとは別のBの属性の個物の観念は,同じように観念という思惟の属性の個物であるのだけれど,それらは様態的にmodaliter区別されるのではなく実在的にrealiter区別されなければならないということであると僕は解しました。もしもそれらが様態的に区別されるのであれば,たとえばAの属性の個物はAの属性の様態modusだけを認識するcognoscereのではなく,Bの属性の様態も認識することになるでしょうし,そればかりではなく無限に多くのinfinitaすべての属性の様態も認識されることになります。しかしそれらの書簡でスピノザは明確にそれを否定しています。ということは,各々の属性の観念の区別distinguereは様態的区別ではなく実在的区別でなければならないのです。
 もしもそれらが様態的区別であれば,僕たちは僕たちにとっての未知の属性の個物の観念も有することができるといわなければなりません。チルンハウスEhrenfried Walther von Tschirnhausはこの路線でスピノザの主張を解していたのです。そしてこの場合は,僕たちは僕たちの世界と別の様態によって構成される別の世界を認識することができるようになりますから,僕たちの世界の外部に別の世界があるというように認識することになります。いい換えれば僕たちの世界には外部があると認識します。ところが実際にはこのチルンハウスの解釈は誤りerrorで,物体corpusの観念と未知の属性の個物の観念は実在的に区別されるのですから,僕たちの精神mensがそうしたものを認識することはありません。よって僕たちは僕たちの世界以外の世界を認識することがないので,僕たちの世界の外部には別の世界はないと結論することになります。つまり僕たちの世界には外部はないという結論に至るのです。このように,この区別も内在と関連するのです。
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