スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

銀河戦&第二部自然学①公理一まとめ③

2008-06-27 19:40:08 | 将棋
 いろいろあってなかなか紹介できないでいますが,この間に銀河戦では何局か好局がありました。このうち5月31日に放映されたFブロック9回戦,中川大輔七段と橋本崇載七段の一戦はどうしても紹介しておきたいです。
 一手損角換りから先手が棒銀,後手が四間飛車で受け,先手が穴熊に組むという将棋。途中からは後手優勢で推移し,とうとう先手の攻めが切れたかと思えたのが第1図。
           
 ▲7三銀と打ち込んで△同桂と取ったところ。ここで先手が▲8一銀の勝負手。以下,△同玉に▲8三金。この後,無理やり飛車を取って攻めを繋げました。後手の対応もどうだったかと思うのですが,入玉を目指して遁走,第2図に進みました。
            
 このまま入玉しても味方が少なく心もとないので,ここは先手陣1段目に飛車を打ち下ろすのではないかと思って見ていたら果たして△2九飛。しかしこの手がまた先手に勝負手を与えてしまいました。それが▲2八金。
           
 これは△同飛成よりないですがそこで▲7三角。△5七玉で入玉できますが,これは▲2八角成とされます。後手はこれを避けて△5五銀と合駒しましたが,これには▲同角成と取り,△同玉の一手に▲5六金。
           
 第3図から第4図まで,先手は角を一枚損しましたが,入玉は阻みました。ここから後手玉を後手陣まで追い戻したものの,最後は届かず,凌ぎきった後手が勝ちました。
 敗者の手を紹介するのは異例ですが,第1図からの▲8一銀,第3図の▲2八金。この二手があったから,僕はこの将棋だけはどうしても紹介しておきたいと思ったのです。
 この将棋の聞き手は久津知子女流初段でした。久津初段は思った手のことをはっきり聞いてくれます。確か地方在住で,大変なのかもしれませんが,もっと多く登場してほしい聞き手のひとりです。
 銀河戦はCブロック9回戦,先崎学八段と北浜健介七段の一戦も,最後までどちらが勝つか分からない大熱戦でした。こちらは詳しく紹介しませんが,ぜひ並べてみてください。

 明日は小田原記念の2日目優秀の銅門賞です。並びは僕の想定で,海老根-五十嵐-加藤圭一の南関東,金子-加藤慎平-村上の中部近畿,荒井-大塚の九州に岩津。人気は割れそうで,僕は荒井選手。

 『デカルトの哲学原理』においてはスピノザは,アトムが実在しないと結論付けているわけですが,この証明はごく単純なものであって,ゼノンに対する反駁として十分なものであるとは僕には思えません。そこで『エチカ』の方で考えることにしますが,そこで僕が注目したのが個物の定義である第二部定義七であり,その中でもとくにとくにスピノザが,最も単純な個物の実在を認めていると思われる点です。このことは,スピノザの哲学においては,精神が身体の観念であるとされている点に注目し,各々の精神の機能を考えた場合に,機能の相違というものがあるのであって,そうした相違の根拠というものがどこから生じてくるのかということを考えることによっても出てきます。これは質的側面から考えることもできるわけですが,量の観点からもいうことができるのであって,よって,最も単純な個物というものがそれ以上は分割することができないようなもの,つまりアトムであるということを否定できるわけではありませんし,その実在を絶対的に否定できるわけでもありません。なのでこのアトムによる論証によって,第三の逆説に反駁することは,必ずしも十分な成果をあげられないという結論に達しました。
 しかし,『デカルトの哲学原理』の当該部分におけるスピノザのゼノンに対する反駁は,このアトムによる反駁がすべてではありません。もうひとつ,運動と位置に関係するような反駁があるのです。そこで今度は,その反駁の妥当性を考えてみることにしました。

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2 コメント

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師匠ゆずり・・・ (Logical Space)
2008-06-29 02:30:45
こんばんは。

中川七段の師匠は米長永世棋聖です。
米長永世棋聖は、不利な将棋を泥沼流と言われて、勝負手で指すタイプです。

▲8一銀、△同玉、▲8三金
▲8二金
の指し方は、師匠の泥沼流を思わせる指し方だと思います。

将棋用語では、勝負手と言いますね!
プロでは、水面下の変化なので、表面に表れると面白いですね!
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勝負手 (spinoza05)
2008-06-29 18:33:29
コメントありがとうございます。

▲8一銀の方はともかく▲2八金の方は
見ていてその意味がすぐには把握できませんでした。
これがあるなら橋本七段もたぶん△2九飛とは打たなかったと思うので
さぞかしびっくりしたのではないかと思います。
この将棋では結局は報われることはなかったのですが
こういう勝負の仕方はさすがプロだと思います。
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