スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

フェアリードール&実践政治

2024-11-23 19:27:07 | 血統
 JBCレディスクラシックを勝ったアンモシエラの基礎輸入繁殖牝馬は,3代母の1991年にアメリカで生まれたフェアリードールです。アマゾンウォリアー,ファンシミン,マイグッドネス,アンティックヴァリュー,ソルティビッド,バイザキャットと日本で大レースを勝った馬が多く出ているファミリーナンバー9-fの一族の一頭。
                            
 繁殖牝馬としての生活は日本でのみ送りました。最初に産んだのがトゥザヴィクトリーですから,いきなり成功を収めたことになります。トゥザヴィクトリーの産駒には2010年に中日新聞杯,2011年に京都記念と日経賞,2012年に日経新春杯と鳴尾記念を勝ったトゥザグローリー,2014年に弥生賞を勝ったトゥザワールド,2017年の中山牝馬ステークスを勝ったトーセンビクトリーと3頭の重賞勝ち馬がいて,孫の世代にも2018年の七夕賞と2019年の阪神ジャンプステークスを勝ったメドウラーク,2019年に青葉賞とセントライト記念を勝ったリオンリオンが出ています。
 トゥザヴィクトリーの2歳下の全妹からは2015年の報知グランプリカップを勝ったバトードールと2018年のクラスターカップを勝ったオウケンビリーヴが出て,孫の世代には2021年のJBC2歳優駿を勝ったアイスジャイアント,2016年の京成杯を勝ったプロフェット,2018年の京都2歳ステークスを勝ったクラージュゲリエと3頭の重賞勝ち馬が出ています。
 トゥザヴィクトリーの3つ下の全妹はビーポジティブ。2002年にクイーン賞を勝ちました。
 トゥザヴィクトリーの4つ下の全弟はサイレントディール。2003年にシンザン記念と武蔵野ステークス,2007年の佐賀記念を勝ちました。
 トゥザヴィクトリーの10歳下の半妹の産駒には2013年にフローラステークスとローズステークスを勝ったデニムアンドルビーと2018年にしらさぎ賞東京シンデレラマイル,2019年にマリーンカップを勝ったラーゴブルーと2頭の重賞勝ち馬。
 トゥザヴィクトリーの12歳下の半妹の孫がアンモシエラ。
 トゥザヴィクトリーの13歳下の半妹の産駒には2020年に中山牝馬ステークスと福島牝馬ステークスを勝ったフェアリーポルカがいます。
 活躍馬が続出している一族ですが,なぜか大レースの勝ち馬はトゥザヴィクトリー以来出ていませんでした。アンモシエラが2頭目になります。まだまだ繫栄していくでしょう。
 フェアリードールの伯母にあたるヘバという馬も繁殖牝馬として輸入されています。こちらの子孫には2010年のCBC賞を勝ったヘッドライナー,2015年のサマーチャンピオンと2016年の武蔵野ステークスを勝ったタガノトネール,2014年のデイリー杯2歳ステークス,2020年の阪神ジャンプステークスと京都ジャンプステークス,2022年の京都ハイジャンプを勝ったタガノエスプレッソなどが出ています。

 『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』は政治理論を展開することを意図していたので,理性の有entia rationisである自然状態status naturalisや,その自然状態から脱出して共同社会状態status civilisに入るための社会契約を,概念notioとして利用することに一定の意義がありました。もちろんそれでもスピノザはそれをホッブズThomas Hobbesがいうのと同じ意味での社会契約として規定することはできず,ホッブズの政治論においては不可逆的であったといえる社会契約を,むしろ一般的な契約pactumと同じように解し,それは破棄され得るものとして規定するほかなかったわけですが,そのように解釈されるスピノザの社会契約もまた実在的有entia realiaではなく理性の有であったことに違いないのであって,それを利用することができたのは,そこで示されるのが政治理論であったからであるということは,同じように成立するだろうと思います。
 『国家論Tractatus Politicus』は政治理論よりも実践政治のあり方,あるいはあるべき姿を展開しようとしたので,そこでは実在的有だけが意味をもつことができました。自然状態は理性の有であっても,共同社会状態は実在的有なので,実在的有のあり方,あるべき姿について論述しようとする場合は,理性の有に頼ることはできなかったからです。このために『国家論』では社会契約説が大きく後退してしまったのではないかというように僕は考えています。もちろんこれは,その理由のひとつであって,理由のすべてであるといいたいわけではありませんが,確かにこの点が,『国家論』の中でスピノザが社会契約説に触れなかった理由のひとつを構成していると思うのです。
 実践政治のあるべき姿を論述しようとした『国家論』の中で,スピノザはみっつの制度をあげてそれらを比較検討しています。ひとつ目が君主国家,ふたつ目が貴族国家,三つめが民主国家です。政治体制でいえば,君主国家は独裁制,貴族国家は共和制,民主国家は民主制を意味すると解するのが,現代の僕たちにとっては分かりやすいだろうと思います。
 これらの政治制度の中で,最も優れているとスピノザが考えているのは民主国家すなわち民主制です。これは間違いなくそうであると断定することができるのですが,それが意味しているところが重要です。

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