スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&一冊の本

2024-11-02 19:09:51 | 将棋
 10月25日と26日に仁和寺で指された第37期竜王戦七番勝負第三局。
 藤井聡太竜王の先手で佐々木勇気八段のダイレクト向飛車。終盤まで優劣不明の熱局となりました。
                            
 ここで後手は☖9七飛と打ちました。それに対して☗5四角と打ったのが勝着に。
 これは☖7四金と取られて先手玉が危なそうなのですが,その瞬間に☗7二角成として,変化手順が多くて難解なのですが後手玉が詰むという仕組み。ということで☖8三銀と受けたのですが☗7五桂という追撃があり,先手の勝ちになりました。
 第1図では☖9八飛と王手をして☗7七王に☖9六飛成と香車を抜いておく順があったようで,これならまだ難解な局面が続くこととなったようです。
 藤井竜王が勝って2勝1敗。第四局は15日と16日に指される予定です。

 1670年4月3日付でファン・ローンJoanis van Loonは効き目が現れたと書いているのですが,その直後に,私はこの年齢になって思いがけず一冊の書物の父親となったという一文が付け加えられています。しかしこの文章は,物語の全体からすると意味不明といわざるを得ないでしょう。ローンは遅くとも1669年12月20日には書き始めている設定になっていますから,翌年の4月3日までには一定の量を書いていてもおかしくはありません。それが一冊の本に値する量になっていることも十分にあり得るでしょう。しかしローンは一冊の本を書く目的で書いている,あるいは書き始めたわけではなく,自身の病気から恢復するために書いているのです。ですから分量は一冊の本に匹敵するものになったかもしれませんが,その内容がそのまま発売できるものになっていたとは僕には思えないです。確かに書き続けているある時から,ひとつのまとまった物語になっていったということはあり得ますが,それは結果論であって,書き始めた当初から一冊の本というに相応しい内容のものであったというのは無理があると思うのです。したがって,むしろこの部分はそれを全訳したと主張しているヘンドリックHendrik Wilem van Loonが付け加えた可能性の方が高いように僕は思えます。
 ファン・ローンが何かを書き残していて,それをヘンドリックが発見したことは確実だと僕は思いますが,その書き残したものというのは起承転結があるようなまとまったものではなく,部分的なものにすぎず,その部分的なものを,ひとつのストーリーとして成立するようにヘンドリックがまとめたという可能性の方が僕は高いと思います。ですからそれをまとめるにあたっては多くの脚色が入っている筈で,各々の部分から歴史的事実の探求として参考になる残骸は含まれていると思いますが,そのまま史実であったと確定するのは無謀だと思います。『Βάτραχοι』でいえば,ローンはスピノザがディオニュソスDionȳsosの役を演じているところを見たことがあるか,そういう話をスピノザから聞かされたことは確定できると思いますが,実際にこのプロットの状況でスピノザがディオニュソスを演じたとはいいきれないのではないでしょうか。

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