[あらすじ] 同居母86歳要介護2パーキンソン病認知症状少々、
家から20メートルほどの自販機にジュースを買いに行くのはOKしていたが、
家から300メートル、バス通りの向こうのコンビニまで一人で行って買い物してきた。
ある朝、相談が有る、というメモが食卓の上に置いてあった。
メモは夜に書いたものだろうか。
食卓の上には、過去の手紙や領収書や介護の契約書やその他もろもろの紙が
山となっている。
その隅っこにメモは有った。
気付かなくてもおかしくない状況だったので、
気付かなかったふりをしておいた。
午前中、外出しようとすると、階段の一番下の段に、またメモが置いてある。
5×8㎝くらいの小さなカードの裏表に、小さい文字でみっちり書いてある。
パーキンソン病は小字症といって、文字通り、
書字が小さくなる症状がある。
ちまちまとしてねじれた文字を読むのはひと苦労であるが、
読む。
※
要点をまとめると、
・コンビニまで一人で買い物に行って良いことにして欲しい。
・現金が欲しい。おこづかいのような月給制にして欲しい。
・半年ぶりに買い物をしてみて、お金の感覚が鈍っていることに気付いた。
・アイスクリーム、チョコレート、おいなりさん、パンなどが買いたい。
・私はチョコレートを食べると元気が出ます。
※
やはり、先日ひとりでコンビニまで行って帰って来られた成功体験が
ものを言っているのだろう。
※
金銭感覚は、ちょいとおかしくなっている。
数ヶ月前も、通販でお菓子や食品を4万円分も買ってしまい、
巨大な段ボールが届いた。
あと、一年越しで説得しているが、
教会に月々の献金をしている。
年金生活だが、月々**,***円+クリスマスやイースターには**,***円の献金をする、
と言って聞かない。
恐ろしいので伏字にしてみる。これがほんとのおフセ。なんつって
笑えない。
※
これはきちんと話さねばならない、と、
出かける予定を曲げて母の居室の扉を開けたが、
ベッドで口開けて眠っていた。
ひとまず出かけることにした。
※
外はここ一番という秋晴れで、すがすがしいことこの上ない。
空が高い。
突き抜けるほど澄んでいる。
バイク(50㏄)を走らせるが、心は晴れない。
腹の底が低い。
どう足掻いても濁っている。
※
身体の話を挟むよ。
もうずっと以前のことだが、涙にはストレス物質が含まれているから、
泣きたい時には涙を流して泣いたほうが良い、
ということを聞いたことが有るよ。
先日、怒ると唾液にストレス物質が出るから、
口は漱いだほうが良い、ということを聞いたよ。
そう言えば、ストレスについての研究には、
唾液を採取してその物質の分泌量を調べるのだ。
実験方法として知ったので、
口を漱いでスッキリさせる、という実際的なことに思いが繋がらなかった。
チェッ、ペッ!
※
行き詰ってしまった気持ちで、涙が溢れそうになってくる。
しかしその時は抑えた。
バイクを止めて、公園で腕立て伏せをして、
それからパソコンを開いて、ケアマネージャーさんにメールを打った。
ちょうど翌日が面談の予定だった。
※
事の次第を報告すると、わりにすぐに返信が来た。
「お一人で外出の件は難しいですね。」
という一行を読んだら、
ずいぶん気持ちが落ち着いた。
そうだよね、難しいよね、私は間違ってないよね、
客観的に見て難しいよね、そうだよね。
※
翌日の訪問で、ケアマネさんはゆっくりと繰り返し、母に
お一人でコンビニまで行くというのは危ないですね、
と話してくれた。
母は何かキツネにつままれたようなビックリしたような表情で、話を聞いていた。
理解しているのだろうか?
週に2回の訪問リハビリの中で、
体調と天気の良い時にコンビニまで付き添って歩いて行ってもらえるように、
正式に依頼しておきますね、
とケアマネさんは言う。
※
それでも、金銭管理の問題はちょっと残るが、
まずは一緒に歩いてもらうことからだろう。
ひとつホッとした。
ケアマネさんと一緒に玄関を出て、前日の心情を話した。
「陥っちゃうんですよねー。分かってても、陥るんですよね。」
そうなんですね。
※
と、これで一件落着とはいかないのが婆の常。
つづく…
家から20メートルほどの自販機にジュースを買いに行くのはOKしていたが、
家から300メートル、バス通りの向こうのコンビニまで一人で行って買い物してきた。
ある朝、相談が有る、というメモが食卓の上に置いてあった。
メモは夜に書いたものだろうか。
食卓の上には、過去の手紙や領収書や介護の契約書やその他もろもろの紙が
山となっている。
その隅っこにメモは有った。
気付かなくてもおかしくない状況だったので、
気付かなかったふりをしておいた。
午前中、外出しようとすると、階段の一番下の段に、またメモが置いてある。
5×8㎝くらいの小さなカードの裏表に、小さい文字でみっちり書いてある。
パーキンソン病は小字症といって、文字通り、
書字が小さくなる症状がある。
ちまちまとしてねじれた文字を読むのはひと苦労であるが、
読む。
※
要点をまとめると、
・コンビニまで一人で買い物に行って良いことにして欲しい。
・現金が欲しい。おこづかいのような月給制にして欲しい。
・半年ぶりに買い物をしてみて、お金の感覚が鈍っていることに気付いた。
・アイスクリーム、チョコレート、おいなりさん、パンなどが買いたい。
・私はチョコレートを食べると元気が出ます。
※
やはり、先日ひとりでコンビニまで行って帰って来られた成功体験が
ものを言っているのだろう。
※
金銭感覚は、ちょいとおかしくなっている。
数ヶ月前も、通販でお菓子や食品を4万円分も買ってしまい、
巨大な段ボールが届いた。
あと、一年越しで説得しているが、
教会に月々の献金をしている。
年金生活だが、月々**,***円+クリスマスやイースターには**,***円の献金をする、
と言って聞かない。
恐ろしいので伏字にしてみる。これがほんとのおフセ。なんつって
笑えない。
※
これはきちんと話さねばならない、と、
出かける予定を曲げて母の居室の扉を開けたが、
ベッドで口開けて眠っていた。
ひとまず出かけることにした。
※
外はここ一番という秋晴れで、すがすがしいことこの上ない。
空が高い。
突き抜けるほど澄んでいる。
バイク(50㏄)を走らせるが、心は晴れない。
腹の底が低い。
どう足掻いても濁っている。
※
身体の話を挟むよ。
もうずっと以前のことだが、涙にはストレス物質が含まれているから、
泣きたい時には涙を流して泣いたほうが良い、
ということを聞いたことが有るよ。
先日、怒ると唾液にストレス物質が出るから、
口は漱いだほうが良い、ということを聞いたよ。
そう言えば、ストレスについての研究には、
唾液を採取してその物質の分泌量を調べるのだ。
実験方法として知ったので、
口を漱いでスッキリさせる、という実際的なことに思いが繋がらなかった。
チェッ、ペッ!
※
行き詰ってしまった気持ちで、涙が溢れそうになってくる。
しかしその時は抑えた。
バイクを止めて、公園で腕立て伏せをして、
それからパソコンを開いて、ケアマネージャーさんにメールを打った。
ちょうど翌日が面談の予定だった。
※
事の次第を報告すると、わりにすぐに返信が来た。
「お一人で外出の件は難しいですね。」
という一行を読んだら、
ずいぶん気持ちが落ち着いた。
そうだよね、難しいよね、私は間違ってないよね、
客観的に見て難しいよね、そうだよね。
※
翌日の訪問で、ケアマネさんはゆっくりと繰り返し、母に
お一人でコンビニまで行くというのは危ないですね、
と話してくれた。
母は何かキツネにつままれたようなビックリしたような表情で、話を聞いていた。
理解しているのだろうか?
週に2回の訪問リハビリの中で、
体調と天気の良い時にコンビニまで付き添って歩いて行ってもらえるように、
正式に依頼しておきますね、
とケアマネさんは言う。
※
それでも、金銭管理の問題はちょっと残るが、
まずは一緒に歩いてもらうことからだろう。
ひとつホッとした。
ケアマネさんと一緒に玄関を出て、前日の心情を話した。
「陥っちゃうんですよねー。分かってても、陥るんですよね。」
そうなんですね。
※
と、これで一件落着とはいかないのが婆の常。
つづく…
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