[あらすじ] 老母84歳、パーキンソン病、要介護1、左股関節全置換。
股関節の手術後、術側の脚のほうが長くなり、
パーキンソン病による前傾姿勢に不安定さが加わる。
足の裏、爪先寄りにウオノメが3つずつできて、痛い。
健側の右の靴に、2cmの補高をすることになった。
介護保険制度のおかげで、ケアマネージャーさんが付いて、
介護周辺で必要なことを本人全体として考えて提案してくれる。
年寄りのことなので、ケアマネさんになつくのに数ヶ月かかる。
制度の変更が有ったり、事務所の人事異動が有ったりで、
同じケアマネさんが2年続けて担当してくれたことはない。
親しくなった頃には別れの時が来る。
一方で、新しいケアマネージャーに替われば、
新しい視点から見てもらえる。
ケアマネさんも人それぞれに得手があるので、
担当者が替わることにも効果はあるから、
短期間で交代になってしまうことも悪いことばかりではない。
話をよく聞いてくれる人、
課題を出して結果も聞いてくれる人、
制度で利用できる様々なサービスを教えてくれる人、
介護チームの連携を濃密に取ってくれる人、
などなど、ケアマネさんの個性が出る。
※
介護保険を利用し始めたのは、
股関節の手術の後だったように記憶している。
股関節が痛むので手術したものの、
脚長差ができてしまったので手術前と違った痛みが出て、
歩行の困難さは解消しなかった。
これでは今までどおりの生活はままならない、ということで申請したのだ。
当時は私が同居していなかった。
父が同居していたが、なんのあてにもならない。
要支援1から始まって、その後の認定で要介護1となり、
それから私が同居するようになった。
パーキンソン病に気付いたのは股関節の手術の直前の頃だ。
私が鍼灸学校でパーキンソン病について学ぶ中、
これは自分の母に全部あてはまるじゃないか、と気付いたのだ。
すぐ、母に神経内科を受診することを勧めたが、
本人がその気になって受診するまで数ヶ月かかった。
かつ、股関節の執刀医に紹介されて行った病院は
あまりパーキンソン病を得意としておらず、
適切な投薬をしてもらえないまままた1年以上が経った。
その後、症状の停滞を見て、私が市内の専門医を見付けてそちらへ移った。
鍼灸師として、病理や医療に関して得た基礎知識が
こんなところで役立つことになった。
※
今年から担当のケアマネさんはもうひとつ、
訪問看護を受けることを勧めてくれた。
そういえば、3年くらいにもそういう提案は有ったが、
あの頃は訪問リハビリを受けていて、併用ができなかったのだ。
その後、リハビリはデイケアに通うようになって、状況が変わったのだが
訪問看護のことは忘れていた。
担当の看護師さんと、所長さんがやって来た。
担当者さんは母のマッサージに取り掛かる。
所長さんは隣室で私にあれこれ説明をしてくれる。
まず、大きな事が分かった。
母はパーキンソン病で難病の指定を受けている。
難病というのは、現代の医療の中では治癒はできないとされているものだ。
治らないけれど投薬は必要ということで患者の負担が大きい。
そこで、自治体が医療費を補助してくれる制度が有る。
この医療券を持っているので、医療保険で訪問看護を利用したら良い、ということがわかった。
介護保険を使わずに済む。
この分の点数で他の介護保険サービスを受ける余地が残るし、
何より、医療券による自己負担限度額に、毎月の診察代と薬代だけで達しているので、
訪問看護を負担なく利用できる。
こんなことなら、もっと早く利用していれば良かったのだが、
このような仕組みは特に誰が教えてくれるわけでもない。
ケアマネさんからの提案が有ったおかげだが、
介護保険を利用しているのも、パーキンソン病ではなく股関節の問題が有ったからこそだ。
制度を活用するためには、自分で想像や要求をふくらましてあれこれ調べる必要がある。
介護保険で訪問看護を利用する場合、
緊急看護といって、なにかの時にいつでも呼び出して対応してもらうためには、
前もって設定しておく追加料金が必要である。
しかし、医療保険で訪問看護を利用する場合は、緊急看護はもともと組み込まれている。
はじめの説明では介護保険で利用するつもりだったので、
今は容態が急変するような体調ではないから緊急看護は必要ないということにした。
しかし、ボスの説明を聞いていくと、「緊急」というのはそのような切羽詰ったものばかりではない
ということがわかっていく。
つづく
股関節の手術後、術側の脚のほうが長くなり、
パーキンソン病による前傾姿勢に不安定さが加わる。
足の裏、爪先寄りにウオノメが3つずつできて、痛い。
健側の右の靴に、2cmの補高をすることになった。
介護保険制度のおかげで、ケアマネージャーさんが付いて、
介護周辺で必要なことを本人全体として考えて提案してくれる。
年寄りのことなので、ケアマネさんになつくのに数ヶ月かかる。
制度の変更が有ったり、事務所の人事異動が有ったりで、
同じケアマネさんが2年続けて担当してくれたことはない。
親しくなった頃には別れの時が来る。
一方で、新しいケアマネージャーに替われば、
新しい視点から見てもらえる。
ケアマネさんも人それぞれに得手があるので、
担当者が替わることにも効果はあるから、
短期間で交代になってしまうことも悪いことばかりではない。
話をよく聞いてくれる人、
課題を出して結果も聞いてくれる人、
制度で利用できる様々なサービスを教えてくれる人、
介護チームの連携を濃密に取ってくれる人、
などなど、ケアマネさんの個性が出る。
※
介護保険を利用し始めたのは、
股関節の手術の後だったように記憶している。
股関節が痛むので手術したものの、
脚長差ができてしまったので手術前と違った痛みが出て、
歩行の困難さは解消しなかった。
これでは今までどおりの生活はままならない、ということで申請したのだ。
当時は私が同居していなかった。
父が同居していたが、なんのあてにもならない。
要支援1から始まって、その後の認定で要介護1となり、
それから私が同居するようになった。
パーキンソン病に気付いたのは股関節の手術の直前の頃だ。
私が鍼灸学校でパーキンソン病について学ぶ中、
これは自分の母に全部あてはまるじゃないか、と気付いたのだ。
すぐ、母に神経内科を受診することを勧めたが、
本人がその気になって受診するまで数ヶ月かかった。
かつ、股関節の執刀医に紹介されて行った病院は
あまりパーキンソン病を得意としておらず、
適切な投薬をしてもらえないまままた1年以上が経った。
その後、症状の停滞を見て、私が市内の専門医を見付けてそちらへ移った。
鍼灸師として、病理や医療に関して得た基礎知識が
こんなところで役立つことになった。
※
今年から担当のケアマネさんはもうひとつ、
訪問看護を受けることを勧めてくれた。
そういえば、3年くらいにもそういう提案は有ったが、
あの頃は訪問リハビリを受けていて、併用ができなかったのだ。
その後、リハビリはデイケアに通うようになって、状況が変わったのだが
訪問看護のことは忘れていた。
担当の看護師さんと、所長さんがやって来た。
担当者さんは母のマッサージに取り掛かる。
所長さんは隣室で私にあれこれ説明をしてくれる。
まず、大きな事が分かった。
母はパーキンソン病で難病の指定を受けている。
難病というのは、現代の医療の中では治癒はできないとされているものだ。
治らないけれど投薬は必要ということで患者の負担が大きい。
そこで、自治体が医療費を補助してくれる制度が有る。
この医療券を持っているので、医療保険で訪問看護を利用したら良い、ということがわかった。
介護保険を使わずに済む。
この分の点数で他の介護保険サービスを受ける余地が残るし、
何より、医療券による自己負担限度額に、毎月の診察代と薬代だけで達しているので、
訪問看護を負担なく利用できる。
こんなことなら、もっと早く利用していれば良かったのだが、
このような仕組みは特に誰が教えてくれるわけでもない。
ケアマネさんからの提案が有ったおかげだが、
介護保険を利用しているのも、パーキンソン病ではなく股関節の問題が有ったからこそだ。
制度を活用するためには、自分で想像や要求をふくらましてあれこれ調べる必要がある。
介護保険で訪問看護を利用する場合、
緊急看護といって、なにかの時にいつでも呼び出して対応してもらうためには、
前もって設定しておく追加料金が必要である。
しかし、医療保険で訪問看護を利用する場合は、緊急看護はもともと組み込まれている。
はじめの説明では介護保険で利用するつもりだったので、
今は容態が急変するような体調ではないから緊急看護は必要ないということにした。
しかし、ボスの説明を聞いていくと、「緊急」というのはそのような切羽詰ったものばかりではない
ということがわかっていく。
つづく
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