犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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中原を行く

2020年09月13日 | 日々
ちゅうげんをいく
と読むと、心は一気に黄河流域に飛ぶ。

実はなんのことは無い、
隣町を散歩しているだけなのだが。



小学6年生の時の図工の先生が教わっている、
書道教室の展覧会に行った。
その先生の師匠は、西川寧先生(1902‐1989)である。

西川は包世臣が唱え趙之謙も実現した筆法を引き継いだ。
書き出しにその字画の向きと逆から筆を入れ、最後は進んできた方向に筆を抜く、
逆入平出。
篆書や隷書で使われる。

ある時、先生は西川に「その隷書は誰に教わった。」と聞かれる。
もちろん、西川なのだが、そう答えると西川は慌てて、
「そんなのを書いていてはいかん」ということで、別の人を手本にするように教える。
それまで、力強い隷書ばかりを書いていたが、それからは、
ふっくらとして、どこかやわらかさも有る隷書を作りあげていった。

隷書というと、石碑に遺ったどっしりとした字ばかりが知られていたが、
その頃から発掘が進み、木簡や帛書などが発見される。
割り箸かという細い竹のヘラに、よくできた細い筆で書いた、
日常的に使われる隷書というものが知られるようになったのだ。

趙之謙などの時代と較べて、隷書というものがガラリと変わったのだと思う。
肉筆の隷書の存在が加わり、表現に幅が出た。
それに西洋的個人主義なども加わり、隷書が芸術表現になり得ることになった。

西川は、そういう変革期を生きた人だと思う。
なんせ明治の終わりから平成まで生きたから、
驚きの連続だっただろう。
作品で人々を驚かせもしたわけだが。



異常は全て脱線。

私の小学校の先生が、友達に私を紹介するのに、こんな話をした。
「この子がさ、休み時間に机の上に何か広げて見てるのよ。
何かと思ったら、白地図で、それに、自分が自転車で走った道のところに
赤鉛筆で塗ってあるの。
これを私もやってみたいと思って、さっそく地図を買ってまねしてみたわけ。
大人に影響を与えた子どもだったのよ。」

国土地理院の2万5千分の1の地形図。
自転車で何時間か走り回って、帰宅してから地図を広げ、
記憶を頼りに道に赤線を引いていく。
それが楽しみだった。



しかし言われてみて、学校にまで地図を持って行っていたことを
あらためて知る。
おそらく、
友達は誰も興味を示さなかっただろう。
「私も地図を買ってやってみた」というのは、この図工の先生だけだ。

好きなことに打ち込むのは結構なことだが、
学校の短い休み時間くらい、
級友としゃべるとかすりゃあいいのに。
相変わらず非社交的だなあ。と
時間軸が逆の表現だが、思う。

卒業後、クラス会でみんなが集まっている中、
時刻表をめくっている鉄道好きのヤツがいて、
お節介な女子に注意されていた。
アイツといい勝負だな。



9月1日から、毎朝、自分の散歩をしている。
犬が老いて、特に8月からは一日1000歩も歩かない日が続いていた。
24日に犬が死んで、それから1週間は喪に服していた。

何度か雨の日も有ったが、うまいこと私が歩く早朝に止んでいたりで、
一日も欠かさず歩けている。
犬の散歩に行った方には、まだ行く気がしない。

どうせなら、と、あまり行かない方向に行ってみる。
水路を辿る。
ここからは暗渠かとか、ここで住宅街の裏に入るのかとか、
この先は遊歩道になっているのかとか、
そういうのを追うのが楽しい。
あるいは、暗渠も分からないようになっているけれど、
昔は川が有っただろうという道を見つけたり、
その先に道とも言えない空き地が細く続いていて
川だった証拠を掴んだり。

そうやって歩いてみると、
自宅からほんの1㎞行くか行かないかという範囲の中でも、
通ったことの無い道がまだ有るのを発見することもある。

新鮮である。



今は、住宅街が続いて退屈だから、と、あまり散歩したことの無かった
隣町を主に歩いている。
一時間余り歩き回って8000歩圏内で、
初めての道を歩く楽しみがまだ残っていたのが、楽しい。



小学生で、地形図を初めて買った時には、確か120円くらいだったと思う。
今は400円だかもっとだか。
というより、今ならダウンロードしてプリントアウトできる。
自宅ではA4サイズまでしか刷れないという点に
地図としては難が有るが、便利なこった。

久しぶりに、地形図に赤線を引く遊びをしてみようか。
ほんの数十分前に歩いた道を思い出す。
これだけでも、今の私の脳味噌には良い鍛錬になるかもしれない。
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