犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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鍼と落語

2016年02月10日 | 日々
昨日は鍼についてあやしい落語を紹介してしまったので、
今日はちょっといい噺を聞いていただいて、
鍼の復権につとめたい。

柳家喬太郎の新作落語『移動結石症』
https://www.youtube.com/watch?v=ETKn4Onu0Tw

また喬太郎か、と思われそうだ。
ああ喬太郎さ。
私はさん喬のとろけるような語り口が当世最高だと思っている。
が、好きなのはその不肖の弟子である喬太郎だ。
不肖なんて、他人から言われたかないだろうが。

昨日紹介した、『幇間腹』の中で、若旦那が鍼の練習をする。
少しだけ。
最初に枕に鍼を打つが、実は、実際の練習も最初は枕に打つ。
新入生が何で緊張するって、最初の鍼の実習の授業ほど
緊張するものは無い。
何もできない自分たちが鍼の実習って、一体何をするのか。
と思うと、なんのこたあない、最初は枕に鍼を打つ。
みんなでズラリと並んで、姿勢を正して、
机の上の枕に鍼を打つ。
間の抜けた光景だ。

若旦那は枕にちょいと打ったらすぐに飽きて、
次は飼い猫に打つ。
実習生はそうはいかない。
まだまだいろんな物に打つ。

とにかく、いろんな硬さの物に試しに打ってごらんと先生に言われるままに、
冷蔵庫から豆腐だのゼリーだの蒟蒻だの生肉だの出してきて、打ってみる。
発泡スチロールの玉に、深く鍼を捻じ込む宿題なんてのも出る。

でもって、遂に人体に打つ。
と言ってもいきなり他人に打ちゃしない。
自分の太ももに打つのだ。
みんなでズラリと並んで、姿勢を正して、
短パンをまくって自分の太ももに鍼を打つ。

打っては抜き、抜いては打ち、繰り返し練習する。
最初の最初は下手くそなので、アザができたりということもある。
しかしそのうち、自分の肩がこるとちょいと首に鍼を打ったり、
腰が痛むなら自分で鍼を打ったりと、なかなか便利なことになる。
自分の治療で、感覚をおぼえていく。
うまくなっても、自分に鍼を打ち続ける。
他人に打ちっぱなし、ということにはあまりならないのが鍼師のいいところかもしれない。
外科医じゃあんまりこうはいかない。
自分の開腹手術をするなんて、たぶんブラック・ジャックくらいだろう。
落語か漫画かってとこだ。

落語界のブラック・ジャック、堀田先生の活躍譚に残念ながら続編は無いようだが、
ま、お楽しみあれ。
https://www.youtube.com/watch?v=ETKn4Onu0Tw

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
喬太 (後藤 清 68)
2016-02-10 12:49:31
柳家喬太郎いいですね・・・

幇間腹も軽いのりで 
妙なリアル感?もなく 文字通り
笑いいばなしになっていて 新しさがあります
返信する
きょんきょん (す~さん)
2016-02-10 18:25:47
大阪での公演をyou tubeで見たことがあります。
アウェイで、しかも大阪でやることでずいぶん緊張した様子でした。
演目は『午後の保健室』だったかなあ…
返信する
Unknown (後藤 清 68)
2016-02-10 20:04:46
枝雀以後の大阪にイノベーションはありません
沈滞と安住 妥協と馴れ合い

東京が質量ともに圧倒しています

喬太の 「孫かえる」は 秀逸です
死んでいたのか・・・という 暗転の感傷 
新機軸・新j境地です

小生 談志は好みませんが 
志の輔の理屈っぽさは 大好き
返信する
おお (す~さん)
2016-02-13 07:00:35
「孫かえる」いいですね。
祖師ヶ谷大蔵は、友達も住んでいて、
私はイメージしやすいです。

ああ、志の輔のあのくそまじめな感じは、
理屈っぽさか、なるほど。

私も談志を好かんのですが、
そんなことうっかり口に出すと、
周りがうるさいです。
だからおまえはものの良さがわからん、
くらいのことを言われます。
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