びちぐそ探偵ジーロくん

[あらすじ] 飼い犬ジーロ去勢オス13歳８ヶ月、
散歩先で拾い食いをしたのが原因なのか不明だが、
２週間ぶり２度目の血便。

その日の夕方には食欲も戻った。
翌朝も元気に散歩に出た。
こういう時がまた危ない。

すぐに調子に乗って、また拾い食いをする。
犬は拾い食いと自分の不調の因果関係を認識することはできない。

※

１歳前後の頃、留守にして帰宅すると、
何かを噛んで遊び散らかしていることが時々有った。
お好みはプラスチックやペットボトルだった。
おてんばの妹と２匹で、とにかく散らかした。

ある日、帰宅したら父の薬袋が荒らされていた。
薬のパックは噛むとパリパリと音がして、
さぞかし楽しかったことだろう。

よく調べると、いくつかの錠剤が無くなっているようだ。
それが何の薬か調べると、降圧剤だった。
人間の血圧を下げるのだから、それより身体の小さい仔犬には激しく効いてしまうのではないか。

私は父の主治医のところに電話を掛けた。
先生は「ワンちゃん、血圧下がっちゃいますねー。」と
のんびりしている。

そうなんだろうか。そんなもんなのだろうか。それでいいのか。
どうも納得いかず、今度はかかりつけの獣医に電話してみた。
どれくらいの量を食べてしまったか聞かれたが、はっきりとは分からない。
まあ多分大丈夫だろうとは思うけれど念のため、と言って、
吐かせる方法を教えてくれた。

「オキシドールを小さじに一杯も舐めさせれば、しばらくすると吐きますよ。」
傷を消毒すると泡を吹いてえらくシミる、アレですな。
有ります。やってみます。

無味無臭なのだろうか。
仔犬たちは差し出されたスプーンのオキシドールを素直にペロリと舐める。

そして、数分後には２匹の仔犬があっちでオエオエこっちでゲロゲロ。
部屋のあちこちに吐いた汁の池が点々とできて、
私は雑巾を持って駆け回ることになった。

おかげ様で血圧は下がらなかったようだ。

※

散歩していると、またいつもの場所で地面をしつこく嗅いでいる。
また拾い食いして下痢だ血便だを繰り返してはいけない。
落ち葉に鼻が埋まるかというくらい嗅いで、
口を動かした瞬間にリードを引いて止める。

落ち葉を掻き分けてみると、やっぱり、
犬用のドライフードがひとかたまり、落ちている。
残さないように、拾い集める。

この作業を20分くらいはやっていただろうか。
ドライフードは30ｍくらいの範囲に５ヶ所くらいは見つけた。
いづれも、ひと握りくらいの量づつ有った。ヘンだ。

他に、パンの切れ端を２ヶ所で拾った。
これは、カラスがどこかで取って来て落としたものかもしれない。
ハムのかけらを拾った。
これは、花見客が食べこぼしたものかもしれない。

しかし、ドライフードはおかしい。
点々と、ひとつかみずつ、故意に置いたのではないかという感じがしてならない。

※

拾い食いと血便の因果関係は明確にはなっていない。
けれど、気にはなる。

たくさん拾い食いしてしまったら、オキシドールを催吐剤として使って
吐かせるという方法も有る。