犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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ある朝

2019年06月19日 | 介護ウチのバヤイ
[あらまし] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々。
[あらまし] 飼い犬ジーロくん去勢オス13歳11ヶ月。

自室は二階だが、部屋の扉は開けっ放しだ。
目の前が階段で、その下は、すぐ横が母の居室からの扉で、
廊下が少し有って玄関に続く。

つまり、母が部屋から出ればすぐ聞こえるし、
玄関に人が来ればすぐ聞こえる。
眠りが浅いのか耳が良いのか野性か、
眠っていても、介護士さんが来れば目が覚める。

夜勤の介護士さんは4人いて、曜日代わりで来てくれるのだが、
そのうちの一人が、そっと入る名人である。
前職は忍者か。
この人の時だけは何度か、いつ来たのか分からなかった夜が有った。



だいたい早寝早起きなのだが、
初夏から夏にかけては更に早まる。
21時くらいには寝て、3時くらいには起き出す。

今朝も起きて、窓の外に月の昇るのを見て、
早く犬の散歩に出たいと思った。
月が薄らいでいくのを見ながら散歩なんざ、気分いいじゃないか。

階下に行くと、母のベッドの室の灯りが煌々と点いている。
見ると、起き上がろうとしている。
まあ、トイレだろう。
朝6時に薬を飲むまでは、ベッドサイドのポータブルトイレを使うことになっている。

犬は、母のベッドの横にある自分の寝床で丸まって眠っている。
私がトイレに入ると、犬は目が覚めれば様子を見に来る。トイレまで来る。
しかし、来ない。まだ眠っているのか。
では起きるのを待とう。

私が自室の二階に戻ってすぐ、階下で扉の開く音がした。
あーあ。
母はポータブルトイレではなく、トイレに行こうとしているのだろうか。
服薬前は身体の動きが良くないので、あまり歩き回ると転倒のおそれも有る。
止めなければならない。

しかしこういうことはしばしば有るわけではない。
目が覚めても歩き回らない、という約束は身に付いていた。
なぜ今朝は動いてしまっているのだろう。
ショートステイの後は、家での生活ルールと違う行動をしてしまうことが多いが、
これもその一つなのだろうか。

ちょっとのことでいちいち反応していると、こちらが疲弊してしまう。
これは、後で話せばいいか。

などと、うねうねじくじくと考えていたら、
シルバーカーを動かす音がして、
玄関の扉を開ける音がした。

えっ?
外に出ようとしている??

外に一人で出るというのは、これまた論外で、
本人も、「買い物に行きたい」とか言うわりには
リハビリで外に出ようということになると「怖い」と立ちすくんだりする。

なのに?



階下に行ってみると、玄関から出ようとしてシルバーカーが扉に挟まっているところだった。
なにしようとしているの?と聞くと、

「ジーロがいないんでしょ?」
と言う。

どうやら、また何かはっきりした夢でも見たようだ。
そんなことないよ、ジーロは自分の寝床で寝ているよ、などと言い聞かす。
声を聞きつけて、当のジーロものんびりとやって来る。



認知症ではない。
はっきりした夢と、現実の区別がつかないのだ。

夢は脳みそが作っているものだから、本人にとっては現実より鮮明である。
はっきりしたものほど非現実だから疑え、というのも難しい話だ。


認識したものが現実にしろ夢にしろ、
「服薬するまでベッドを離れない」とか
「一人で外出しない」とかいった原則を守っていれば
このような事故にはならない。

しかし、夢であれ現実であれ何らかのできごとが有って、それに対して
「こうしなきゃ」
という思いが起こると、行動してしまう。
何かの理由が有れば原則の限りではない。という感覚を持っているので、
原則が原則として効能しない。



臨機応変なのはけっこうなのだが、
一人でなんの手掛かりも無く外に出て、どうするつもりだったのだろう。
あのまま、外に出ていたら、どうなっていただろう。

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