昨日に続いて、サンスクリット独習の助けになるアレコレをご紹介する。
●パーニニ文法
そもそも「文法学」というものは、サンスクリットの分析から始まったのだ。
サンスクリット文法学が基になって、後々の各言語の文法学が発展したのだ。
しかも、パーニニという人が経典にまとめているという。
それが紀元前4世紀頃だというのだ。
という言説に触れて、興味が募る。
そういう私のようなおっちょこちょいサンスクリット初心者は、けっこういる。
頑張ろうぜ!
学んでいくと、パーニニ以前にもサンスクリット文法学は有ったようだし、
パーニニ以後も、更に洗練すべく研究は重ねられる。
それでもやっぱりパーニニ文法が中心なわけで、
なんとか読んでみたくなる。
ところが、なるったけ短くまとめるために、いくつかの原則に基づいて
ものすごい省略がなされている。
その原則を知らないと、全く読めない。
そして、それを解説する日本語の本は、無い。無いね。
ただ、日本語訳が一冊出ている。
吉町義雄(よしまち・よしお)訳『古典梵語(サンスクリット)大文法-インド・パーニニ文典全訳-』
けれど、訳文だけで、解説は無い。
ついでに術語が独特なので、読み取りづらい。
高価だし絶版だし。
後述する’まんどぅーか’氏はこのように述べている。
〈モニエルの辞書などいろんな本に、「パーニニの第何章第何節第何項を見よ」なんて書いてあるんで、
ついつい欲しくなって買ってしまいましたが、「見よ」なんていわれてそこを見ても、
たしかにそれらしいことが書いてあるなということがわかるだけですね。
スートラ(お経)つまり項目が列挙されている形で、
これを通常の文法書の形に噛み砕くには学者の手によらざるを得ず、
よほどの文法マニア・研究者でない限り不要だと思います。〉
そうです。
でもパーニニ文法が勉強したいよってんならどうするかと言うと、こちら。
https://ashtadhyayi.com/sutraani
上述した辞書横断検索サイトを作った人が、先行して作っていたサイトである。
まー、内容てんこ盛りなので、紹介しようと思ったらこのサイトについてだけで
数回かけて書かなきゃならない。
ここの、スートラパータというページで、
パーニニ文典のスートラの一つ一つについて、
分かち書き、各語の性数格、英訳、アディカーラなどの分析が見られる。
いんやもうここさえ有りゃあ読めるってもんよ。
辞書の語釈の中にパーニニスートラの引用が有ったら、
そのスートラをチェックし、
そのスートラに掛かるアヌヴリッティが有れば、
もちろんそっちのスートラも遡って読む。
そして、それをエクセルファイルに記録していく。
ということをやってみている。
全部で4000近くのスートラが有るが、
全てに接するまで何年かかるだろうね。
●メーダー・ミチカ氏
日本語でパーニニ文法を説く、貴重な先導。
アメリカで働きインドで学ぶ生活が長くて、
日本語しかも関西弁がなんとなくカタコトっぽくなっているのが
たまんなく楽しい。
著書はここ↓
https://arshaavinash.in/index.php/books-on-sanskrit-grammar/
他に、詩節の解説の日本語による著書も数冊有る。ありがたい。
日本語で解説する動画も有る。
https://www.youtube.com/@medha_michika
日本語の文法書も執筆中とのこと。
●インド古典
『マハーバーラタ』にしろ『ラーマーヤナ』にしろ『マヌ法典』にしろ、
上記アーカイブorg.で閲覧できる。ラッキー♪
イギリスがインドを支配していた時代にサンスクリット研究も盛んであったので、
イギリス人が関わることによって刊本もしっかりしたものが
多く出版されたらしい。
その後のイギリス人研究者によって、英訳付きの本も多い。
助かるぅ。
サンスクリットの文を読むには、とにかく一つ一つの単語の
性(男性/中性/女性)と数(単数/両数/複数)と格(8種)を分析することが肝要だ。
それは、他の言語になった訳文を読んでも分からない。
はじめのうちは、単語ごとに文法解析してある解説書が欲しいものだ。
そこですんばらしいのがこの本。
菅沼晃著『サンスクリット講読 インド思想篇 』
逐語解説が有って助かるぅ。
また、バガヴァッド・ギーターに関しては、下記のサイトがすばらしい。
シーターラーマというインド雑貨のショップがやっているブログである。
https://blog.sitarama.jp/?cat=10
●まんどぅーかのサンスクリットページ
今まで何度も紹介してきたサイトである。
日本でサンスクリットを独習しようと思ったら、
私のこんなブログより、まずここを見ろ!というのがこちら。
https://www.manduuka.net/sanskrit/
残念ながら他界なさっているので、
インターネット上の技術や情報については、ちょいと内容が古いのは仕方ない。
辞書検索フォームも、先述したように、より網羅的なサイトが誕生しているし、
荻原雲来著『実習梵語学』も今や現代語訳が出版されたが、
まんどぅーか氏はここで平易に語り換えている。
他に、聖典を読むための複数の言語のページが併設されている。
真理を探究したいと願う多くの人の手助けとなっていることは間違い無い。
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