中国語を勉強し始めて、すぐにつまづいてとっとと投げ出したことがある。
チとチとチが聞き分けられなかったのだ。
もう、カタカナで書くとワケがわからないが、
違いが聞き分けられないのだから、全部チに聞こえる。
使った入門書の説明も良くなかったのかもしれない。
今も、3つのチがそれぞれどういう音なのか、よく理解できていない。
たしか、わりと日本語のチと同じと思っていいチと、
有気音つまり発音と同時に息を出すチと、
反舌音(そりじたおん)つまり舌の先端が日本語のチよりも後ろのほうに付くチ、
この3つだったんじゃなかったっけな?
日本語では無気と有気の区別をしない。
ちょっと勢い良く言う場合などに自然と有気音になって、
それをわざわざ別の子音だというふうに認識したりしない。
日本語人の耳は、無気と有気の聞き分けをしてきていない。
日本語には反舌音が無い。
あえて有るとすれば、それは「舌っ足らず」と捉えられる。
※
サンスクリットは、やたらと反舌音が出てくる。
日本語で言うシャ行とタ行とダ行に、反舌音が有るのだが、
もともと有るだけでなくて、反舌音に変化することが多いのだ。
単語と単語がつながって文になる時や、
語の要素と要素がくっついて単語になる時などに、
滑らかに発音しやすくするサンディという現象が起きる。
日本語ではこれを連声(れんじょう)と呼んでいる。
たとえば。
母音が続くと発音しにくい。
「ア ウ」を続ける時は「オー」になる。
こんなのは日本語でも起きる。
「アウア」と続く場合は「アヴァ」とはっきりする。
日本語だったら「アワ」になりそうだ。
サンスクリットならではのルールのようであって、
目的は発音のしやすさなので、日本語脳で考えても理解できなくもない。
しかし、子音が連続する時になにやらわからん法則が出てくる。
インド人、舌が反ると発音が楽になるらしい。
ちょいちょい、音が反舌音化する。
※
そんな次第で、反舌音を練習する。
思えば、中国語でつまづいたチの音の反舌音は、サンスクリットには無い。
これだけでもずいぶん救いなのか。
タ行ダ行の反舌音より、シャ行の反舌音のほうが、
私には区別しやすいようだ。
「シャ、シャ(反舌)」と練習していると、
何か聞き慣れた感じを持っているのに気付いた。
なんでだろう。
「シャ、シャ(反舌)、シャ、シャ(反舌)、シャ、シャ(反舌)」
ああ、思い出した。
よしもと新喜劇の、諸見里大介だ。
あの音に似ているんだ。
https://www.youtube.com/watch?v=GV-3Yo0CNLc
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