風呂に入っていたら、壁を蟻が歩いている。
一匹である。
退出願うなら今のうちだ。
何かイイモノでも発見して、巣に帰って仲間を連れて戻って来られては
かなわない。
一匹で探索に来たのだろうか。
腹と頭が奇妙に長い、見慣れない蟻だ。
よく見かける種類の蟻の、働き蟻ではないほかの役職の蟻で、
普段は巣から出ないからお見掛け申し上げないのだろうか。
頭の長いのは、どうやら顎が長いようだ。
丈夫な顎を持つのなら、兵隊蟻だろうか。
よく見ようと顔を近づけると、逃げてゆく。
逃げてゆく先に指をさし出すと、それから逃げて方向転換する。
歩き方もちょっと変わっている。
セカセカと歩いては止まる、蟻独特の動きと少し違う気がする。
アリグモという蜘蛛がいる。
見た目が蟻そっくりなのだ。
そいつじゃなかろうか。
そう思って、足の数を数える。
6本。
頭からは触覚が伸びて、歩く先の壁面をちょんちょんとチェックしている。
蟻だ。
※
完璧だ。
すっかりだまされた。
結局のところ、アリグモだった。
触覚に見えたのは、足だった。
触覚の動きに似せて動かしているのだ。
アリグモの存在を知っていたし、以前にも見たことがあったのに、
だまされた。
かなりの芝居上手だ。
ご参考に↓
http://www.torizuki.com/haetori/arigumo/arigumo.htm
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