母88歳要介護5パーキンソン病ヤールⅣ認知症状少々、
昨年の6月末に特別養護老人ホームに入居した。
それまでは、様々な介護サービスに頼りながら自宅で生活しており、
私は同居していた。
今、たまに丁寧に掃除する度に、当時のことが思い出される。
トイレでも台所でも壁でも床でも、
掃除しても直後には汚れる。
週に2回のデイサービスの間にきれいに掃除しても、
帰宅してすぐに何か食べこぼしでぐちゃぐちゃになる。
何か仕上げたものが瞬く間にダメになるのを見ると、
かなり気持ちが乱れる。
※
そんな毎日だったが、
そこに、犬もいた。
飼い犬ジーロくん去勢オス14歳慢性腎不全。
入れ替わり立ち替わり、介護士さんや看護師さんやヘルパーさんが
家の中に入って来る。
年老いた犬は、警戒して吠える。
体力を賭けて、吠える。
そのうち、室内に設置したトイレに行くこと間に合わずに
オシッコしてしまったりウンチしてしまったりすることが増えた。
掃除がまた増える。
それでも、犬の糞尿には腹が立たない。
言っても言葉では通じないし、
当の犬が本当はトイレに行きたくて懸命に歩いているのが分かる。
※
下痢を繰り返し、吐くものに血が混じった。
近所の小さな動物病院の医師が、
あまり繰り返すようなら、検査機器の揃った病院を受診したほうが良い、
と言う。
獣医の言った通り、やはりまた下痢したので、
教えてもらった動物病院に行った。
若い男性の獣医が担当してくれた。
慢性腎不全の状態であることを告げられた。
毎日、皮下点滴する必要が有るという。
年も取っているし、もう、治すとか延命するとかいうことは
私も考えていなかった。
獣医の説明によれば、
点滴をすることによって、当の犬は少し楽になる、
ということだった。
病気を抱えながらも長生きしてくれなどとは思わない。
しかし、介護のことで家の中と自分の中がグチャグチャな今、
仔犬から育てたこの犬にはいて欲しかった。
もうしばらくそばにいて。と、
犬に頼んだ。
※
4月に担当医が替わった。
若い獣医師は「臨床も好きなんですけどね。」と言いながら、
研究機関に移って行った。
引き継ぎはちゃんとしてくれると言う。
お世話になりました。
新しい担当医は、以前、痙攣発作を起こして受診した際に、
担当医が不在だったので診てくれた人だった。
※
母が無事に特別養護老人ホームに入居した後、
ジーロの体調はまた一段と悪化した。
そして2ヶ月後に長い痙攣発作の末、息を引き取った。
※
発作が続く中、近所の幼なじみMに車を出してもらって、
動物病院へ駆け付けた。
診察室にいる間に痙攣は収まってきた。
そばで様子を見ていたい、と思ったが、
「では処置室で採血してきます。」と奥へ連れられて行った。
数分後、担当医が出てきて、
「今、呼吸が止まったので、救命措置をします。」
と言う。
勢いに押されて、
「はい」
と返事するしかなかった。
後で思えば、救命措置とは、
私がやって欲しくないと思っている事だった。
※
それから何分待ったか何十分経ったか分からないが、
我慢できなくなり、声を掛けて奥へ通してもらうと、
鼻から挿管して心臓マッサージをされていた。
もう、息を吹き返す力など無いのに。
やっと終わったのに。
「もう充分がんばったと思います。ありがとうございました。」
と言って、やめてもらった。
※
動物病院での治療方針への同意って、
どういうふうになっているのだろう。
人間の場合のインフォームドコンセントはもちろん大事だが、
そもそも自身では理解も判断もできない動物の場合の治療は
飼い主への説明ということに尽きるだろう。
前の担当医はよく理解してくれているように
会話の中で感じたので、惜しまれる。
そこは救急救命も得意とする動物病院であり、
設備も整っている。
呼吸が止まれば蘇生しようというのは
当然の流れだったとも思う。
※
ジーロは、私がしばらく庭仕事に出ているだけでも
鳴いてしまうくらいだった。
仔犬の頃から、一匹になることに耐えられなかった。
さみしがりや、などという問題ではない。
いわゆる分離不安だろう。
その犬に私は、「そばにいて」と頼み、
犬はそばにいてくれたのに、
犬が息を引き取るという最も不安な時にそばにいてやらなかった。
今度、獣医にかかる時には気を付けようと思う。
※
8月28日が命日だった。
昨年の6月末に特別養護老人ホームに入居した。
それまでは、様々な介護サービスに頼りながら自宅で生活しており、
私は同居していた。
今、たまに丁寧に掃除する度に、当時のことが思い出される。
トイレでも台所でも壁でも床でも、
掃除しても直後には汚れる。
週に2回のデイサービスの間にきれいに掃除しても、
帰宅してすぐに何か食べこぼしでぐちゃぐちゃになる。
何か仕上げたものが瞬く間にダメになるのを見ると、
かなり気持ちが乱れる。
※
そんな毎日だったが、
そこに、犬もいた。
飼い犬ジーロくん去勢オス14歳慢性腎不全。
入れ替わり立ち替わり、介護士さんや看護師さんやヘルパーさんが
家の中に入って来る。
年老いた犬は、警戒して吠える。
体力を賭けて、吠える。
そのうち、室内に設置したトイレに行くこと間に合わずに
オシッコしてしまったりウンチしてしまったりすることが増えた。
掃除がまた増える。
それでも、犬の糞尿には腹が立たない。
言っても言葉では通じないし、
当の犬が本当はトイレに行きたくて懸命に歩いているのが分かる。
※
下痢を繰り返し、吐くものに血が混じった。
近所の小さな動物病院の医師が、
あまり繰り返すようなら、検査機器の揃った病院を受診したほうが良い、
と言う。
獣医の言った通り、やはりまた下痢したので、
教えてもらった動物病院に行った。
若い男性の獣医が担当してくれた。
慢性腎不全の状態であることを告げられた。
毎日、皮下点滴する必要が有るという。
年も取っているし、もう、治すとか延命するとかいうことは
私も考えていなかった。
獣医の説明によれば、
点滴をすることによって、当の犬は少し楽になる、
ということだった。
病気を抱えながらも長生きしてくれなどとは思わない。
しかし、介護のことで家の中と自分の中がグチャグチャな今、
仔犬から育てたこの犬にはいて欲しかった。
もうしばらくそばにいて。と、
犬に頼んだ。
※
4月に担当医が替わった。
若い獣医師は「臨床も好きなんですけどね。」と言いながら、
研究機関に移って行った。
引き継ぎはちゃんとしてくれると言う。
お世話になりました。
新しい担当医は、以前、痙攣発作を起こして受診した際に、
担当医が不在だったので診てくれた人だった。
※
母が無事に特別養護老人ホームに入居した後、
ジーロの体調はまた一段と悪化した。
そして2ヶ月後に長い痙攣発作の末、息を引き取った。
※
発作が続く中、近所の幼なじみMに車を出してもらって、
動物病院へ駆け付けた。
診察室にいる間に痙攣は収まってきた。
そばで様子を見ていたい、と思ったが、
「では処置室で採血してきます。」と奥へ連れられて行った。
数分後、担当医が出てきて、
「今、呼吸が止まったので、救命措置をします。」
と言う。
勢いに押されて、
「はい」
と返事するしかなかった。
後で思えば、救命措置とは、
私がやって欲しくないと思っている事だった。
※
それから何分待ったか何十分経ったか分からないが、
我慢できなくなり、声を掛けて奥へ通してもらうと、
鼻から挿管して心臓マッサージをされていた。
もう、息を吹き返す力など無いのに。
やっと終わったのに。
「もう充分がんばったと思います。ありがとうございました。」
と言って、やめてもらった。
※
動物病院での治療方針への同意って、
どういうふうになっているのだろう。
人間の場合のインフォームドコンセントはもちろん大事だが、
そもそも自身では理解も判断もできない動物の場合の治療は
飼い主への説明ということに尽きるだろう。
前の担当医はよく理解してくれているように
会話の中で感じたので、惜しまれる。
そこは救急救命も得意とする動物病院であり、
設備も整っている。
呼吸が止まれば蘇生しようというのは
当然の流れだったとも思う。
※
ジーロは、私がしばらく庭仕事に出ているだけでも
鳴いてしまうくらいだった。
仔犬の頃から、一匹になることに耐えられなかった。
さみしがりや、などという問題ではない。
いわゆる分離不安だろう。
その犬に私は、「そばにいて」と頼み、
犬はそばにいてくれたのに、
犬が息を引き取るという最も不安な時にそばにいてやらなかった。
今度、獣医にかかる時には気を付けようと思う。
※
8月28日が命日だった。
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