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[あらすじ] 飼い犬ジーロくん雑種去勢オス慢性腎不全。
家のサンルームへの段差を降りなくなってしまったので、
踏み台を作ってやったが、何かを怖がってそもそもサンルームに近付きすらしない。
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なんだよせっかく踏み台作ったのに。
人間用の踏み台なら、奥行きは30㎝も有れば良いが、
犬が安心して降りられるように、奥行き60㎝たっぷりに作った。
そこに降りてみせて、甘い声で「ほれほれおいでジーロ」と呼べども、
遠くの物かげから不安そうにこちらを見るだけだ。
近付かない。
ふん。
そんなお前も簡単に寄せつける方法が有るぞ。
※
今日はジーロ14歳のお誕生日である。
朝霞に有る土建会社の飯場のようなプレハブの事務所で、
犬小屋は置いてあるけれど鎖に繋いだりはせず
半野良で飼われていた雌犬が、仔犬を7匹産んだ。
そのうちの1匹であった。
その頃、私は犬を飼いたくて、犬好きの友人KKに相談していた。
友人KKの職場の人の更に友達が、犬の保護のボランティア活動をしている、という。
そんなような伝手だったと思う。
仔犬を引き取ろうかと考えている人と、その友達が車を出してくれて、
朝霞まで見に行った。
荒川の手前、新河岸川との間の、土建屋やら運送屋やらといった
広い地面の必要な会社の間に、区画整理されていない感じの道がうねっている地域だった。
※
土建業で余った材らしい分厚い合板で大き目の犬小屋を作って与えられていた。
母犬のサクラは小柄で痩せっぽちだが乳は立派に張っていた。
仔犬たちは生後2週ちょっとで、早い者は目が開きかけていた。
その時に撮った写真を後で見ると、
ジーロは見えない。
いや、よく見ると、写っていた。
他のどの仔犬より一番小屋の奥でぐずぐずしているのだ。
※
そんなぐずなのに何を気に入られたのか、最初に貰い手が決まった。
土建屋のおっちゃんは、仔犬をかわいがって、
泊まりの時に気に入った一匹を連れて一緒に寝たりしたそうだ。
仔犬というのは2、3時間おきに目を覚ましては乳を吸う。
一晩、母犬から離すのはずいぶんとむごい。
それに、「大きくなったら川に流しゃいい。」などと言うものだから、
ボランティア団体が慌てた。
一匹引き取る、と申し出ていた私に白羽の矢を当て、
母犬と仔犬全部が一旦、私の家に来ることになった。
ところが、ジーロだけは他の家に引き取られたのだ。
※
しかし、生後5週で母きょうだいから仔犬を引き離すのは、
無理が有る。
ジーロは2日2晩鳴き通したそうで、
「こんな犬飼えない」と、我が家に来た。
かわいい首輪を付けて、段ボール箱に入って、やって来た。
きょうだいのほとんどは白地にブチの犬だったが、
ジーロが一番、白い地が広かった。
※
ジーロの不運は、生後5週で分離不安を味わったことだけでは終わらなかった。
私は既に、きょうだいの中で唯一のメス犬を引き取ることに決めていた。
最終的にジーロはこのメス犬カバサと2匹で私が飼うことになったのだが、
これが、非常に気の強いメスだったのだ。
小屋の奥で出遅れているような仔犬だったジーロは、
これから10年あまり、カバサの四六時中気を遣い続けることになる。
お気の毒に。
だから、3年前にカバサが雑種犬にしては早く死んでしまってからは、
やっとゆとりの有る余生を過ごすことができている。
※
でも、なんだか臆病なのは変わらない。
サンルームに近付けないのには、足が弱って降りられない以外に
何か理由が有りそうだ。
カバサの霊でも居座っているのだろうか。
※
けれどそこは犬の性。
いつもの餌皿に、腎臓サポートのドライフードを入れ、
その上に腎臓サポートの缶詰のウェットフードを盛って、
サンルームの床に置いた。
ほどなく彼は踏み台を踏んで無事に降り、
ドライフードまで平らげた。
食べ終わったらあたふたと部屋に戻ったけれどね。
少しづつ慣れたらよろしい。
ともあれ、
誕生日おめでとう。
もうしばらく生きていておくれ。
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