[あらすじ] 箸が立つようなプリンが食べたい。
なめらかとかとろけるとかじゃなくってさ。
自分で作るしかない。レシピを探した。
プリンを作るなんてことを書いたら、
旧友のお菓子教室の先生Wがわざわざ連絡をくれた。
さすが、お菓子のこととなると嗅覚が利くのだろう。
この人は、フランス菓子を基礎に、自分のデザインしたお菓子のレシピを
お教室や動画で教授している。
洗練された造形と、それを生み出す技術。
おいしいだけでなく美しいお菓子を作り出す。
https://latelier-w.net/
下手くそな菓子作りなど黙って見ちゃらんないのであろう。
ふん。大きなお世話である。
※
とは言え。
勉強になります。
「省いてはいけないのは、卵液を濾すこと。」
とWが言う。
はいはい。濾します濾します。
―なんなら濾さなくてもいいかなーと思ったんだけど。
「そう思ってるんじゃないかと思って言ったのよ。」
しまった。読まれている。
「濾さないと、途端に失敗した卵焼きとか
塩が足りない茶碗蒸しみたいになっちゃって、
お菓子の背徳感がなくなる。」
―茶漉しでやろうと思ってるんだけど?
「茶漉しだと目が細か過ぎて通りにくいかも。」
なるほど。まあ、何か有るだろ。
「お菓子の背徳感が」
と言うけれど、今回の私のプリンの要件は、
家庭で作る素朴なできばえである。
罪なほど美しいラグジュアリーなドルチェではないんである。
茶碗蒸し上等である。
プロが口を突っ込むな。
※
菓子なんか普段作らない。
やりつけないことをやるのは、めんどくさい。
重い腰が上がらない。
牛乳も買ってしまって、もう後には引けない。
ウーゴくんの下痢に付き合って、自分の体調も崩れた。
そしてそこから回復すると、
病み上がりハイの状態がやってきた。
やろうと思いながらできていなかった事あれこれを
次々とやりたくなり、実行する。
この勢いに乗って作るしかない。
※
結局、茶漉しで濾した。
W先生に茶漉しでは目が細か過ぎると言われたが、
その他のちょうど良さげな物というと網戸くらいしか思いつかず、
他に探す気にならなかったのだ。
白身が茶漉しの中に残るのを、スプーンで押して濾した。
結果、丁寧な裏漉しをしていることになった。
面倒だったんじゃないのか?
結局のところ、やり出すとキレイにやり込みたくなる性質が発動している。
の、わりに。
途中、茶漉しを右手から左手に持ち替える時に、
茶漉しの柄がくるりと回って中身がボウルの中に入ってしまった。
ぐげげ。せっかく濾したものが。混ざってしまった。
まあ、少しだったので、無かったことにする。
という雑な部分も維持しつつ作業を進めた。
※
さて。
・卵液
【牛乳 350㎖】
【卵 4個】
【グラニュー糖 60g】
【バニラエッセンス 5滴】
ウチにグラニュー糖は無いし、
この量に60gの砂糖というのは私にとっては多い気がする。
そういえば、何ヶ月か前、貰ったレトルトのぜんざいが
砂糖の味しかしないので、塩を足して食べた。
その時、ずいぶん塩を入れたっけ。
少し考えた末、このようにした。
・卵液
【牛乳 350㎖】
【卵 4個】
【きび砂糖 45g】
【塩 5g】
【ラム酒ダーク 大さじ1】
塩も酒も多いかなーと思ったが、まあいいや。
※
今回のレシピを選んだ理由は、カラメルソースを琺瑯バットで作って
そのままそれを型に使う、という合理性が有ったからだ。
瓶の中に残っていたきび砂糖を全部かき出したが、17gしか無かった。
レシピの半分も無い。
・カラメルソース
【グラニュー糖 40g】
【水 大さじ1】
【熱湯 大さじ1】
これじゃあカラメル味が足りないかもしれない。
けれど、まあ、いいってことにした。
琺瑯のグラタン皿にきび砂糖を入れる。
水を垂らして、灯油ストーブの上に置く。
やばい。
きび砂糖なので、もともと色が着いている。
焦がしが入ってんだかなんなんだか、目で見て分からんではないか。
そう思っているうちに沸々と泡立ってくる。
いい香りがする。
色は…変わってんだか変わってないんだか分からん。
適当に煮詰まった所で湯を入れて伸ばしたが、
そう言えば分量の半分も砂糖が無かったんだったことに気付く。
焦げてるか分からんわ伸ばし過ぎだわで、
もの足りない液体ができあがった。
※
フライパンに布を敷いて、器の3分の2が浸かるように湯を入れる。
蓋をしたが、きっちり閉まらず浮いてしまう。
いかんな。
湯を足す。
30分加熱して、火を止めてから10分蒸す、とレシピにはある。
余熱の時間も効きそうだ。
冷めるまで放置した。
※
しかたないので写真を撮った。
写真でわかるとおり、切り口はしっかりとしている。
しかし、もっと固くてもいいと思った。
味のこととかなんとか、
つづく
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