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座席のモニターにキティちゃん! (ハローキティジェット)
ボーディング・ブリッジを渡って機内に入る。隙間からキティちゃんの画かれた機体がチラッと見える。エバー航空(長榮航空 EVA Airways)は中華民國(台灣)国籍の航空機。これより民國96年11月24日星期六と記す。機内は台湾一色ではなく、キティちゃん一色であった。「ハローキティ、ごきげんよう♪」と放送で曲も流れている。子供を乗せたらさぞかし喜ぶだろう。
エバー航空2195便は出発時刻の20時少し前に動き出した。第1ターミナルからA滑走路(4,000m)へ向かわず、第2ターミナルの前を通り、暫定並行滑走路(2,180m)へ向かう。機材は小振りなA330-200だし、近距離だから仕方がないが、いかにも滑走路が遠い。東側から滑走路に進入すると、加速して離陸した。上昇する時の得も言われぬ感覚が襲ってくる。やっぱり飛行機は苦手だ。落ち着いてくると、窓外には松戸市内からも見えた、旧暦10月15日のまあるい満月が同じように見えた。
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おしぼりにもキティちゃん!
座席の前のポケットを探ってみる。機内誌、商品の冊子等があるが、キティちゃんの商品を載せた冊子も別にある。キティちゃんラベルのワインも扱っている。キティラーの人は買うのかな。おしぼりが配られる。キティラーでなくともキティちゃん柄の袋は持ち帰る。エチケット袋にもキティちゃんが印刷されている。これは逆に使い辛くないかい?
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機内食にもキティちゃん!
※クリックすると大きなサイズで表示します。
座席前のモニターを航空機の現在位置を示す画面にする。窓外に街の灯りは見えない。愛知県上空を通過する頃、お待ちかねの機内食となった。チキンを選択。キティちゃんのエプロンをした空服員(客室乗務員)さんが配膳してくれる。箸袋、紙ナフキン、ランチョンマットと、キティちゃんが入っている。二色そばに添えられた蒲鉾の模様までもがキティちゃんで、実に芸が細かい。飲み物に台灣啤酒(ビール)をもらい、コップに注ぐと、コップにもキティちゃんが。食事は普通の和食で美味しかったが、台湾らしいのがビールだけだった。コーヒーをもらい、デザートのキティちゃんの人形焼を食べる。ごちそうさまでした。
食後、相変わらず画面で航空機の位置を確かめながら、ヘッドホンで台湾の若手の歌謡曲を聞く。音声のチャンネルの変え方がよく解らないため。まあ台湾らしくていいか。もう鹿児島県上空を通過して、公海上を飛行している。これからが長く感じる。隣の男性は寝ている。起きていただき、前を通って用を足しに行く。ビールとコーヒーには利尿作用がある。トイレに入り、用を足す。棚にはキティちゃんの液体石鹸等が並ぶ。さすがだなあと感心していたが、もしやとトイレットペーパーを見てみる。そこにはやはり…。
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おつまみだってキティちゃん!
隣の男性の眠りを再び遮り、席に戻る。年上の方で恐れ入るが仕方がない。いつもはこの位の飛行時間だと席を立たないのだが、今日はおもろいものを見れてよかった。暫くして、ミッククスナッツとおかきの袋が配られる。お隣さんは寝ているので無し。サイダーかと思って適当に透明の飲み物をもらうと水だった。
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振り向けばキティちゃん!
台湾が近づき、機体は高度を下げて雲の中を行く。レーダー等で飛行しているので大丈夫なのだが、山にでも衝突しないかと不安である。気流も悪くなり、揺れると客席から驚いたような声が思わず上がる。雲の下になったのか、街の灯りが見えてくる。淡水あたりか。橙色の街路灯がはっきりと見えてきた。大きく旋回して臺灣桃園國際機場の恐らく南跑道(3,350m)に西側から無事に着陸した。今まではここでもう安心と思うのだが、那覇の炎上はこの後に発生している。しかし長榮航空は何ら問題は無かった。安全の評価の高い航空会社だそうでサービスもよかった。キティちゃんもありがとう。
ターミナルに入り、入境(入国)へと進む。大した列もないので、すぐに自分の番となる。機内で記入した入境登記表と旅券と航空券を係官に渡す。登記表のカーボンコピーを旅券に留められ、ハンコを押されて、航空券と共に返される。無事に中華民國(台灣)に入境した。さて、成田で預けた行李(こう書くと柳行李を連想するが)の受け取り。具体的にはPCクリニカとウーノ スーパーハードムースである。100ml以下で条件を満たせば客室内に持ち込めたのだが、準備するのが面倒だったのである。バンクーバー荷物が出てこない事件(2000)以来、必ず持ち込みにしていたが、法令が変わったのでは仕方がない。經濟艙(エコノミークラス)なのでなかなか出てこなかったが、バンクーバーの悲劇は繰り返されず、無事に出てきた。
次は両替。臺灣銀行の窓口に壱万円札を2枚出す。すると1枚を返して両替出来ないという。1枚が旧札だという。いずれも福澤諭吉先生の肖像だが、よく見るとE一万円券ではなく、D一万円券(昭和59年発行)である。他に紙幣はないのかと聞くので、財布を探るとE五千円券が1枚、E千円券が4枚あった。成田で飲んだビールのお釣りである。臺灣銀行で両替できないのなら、他の銀行でも旧札の両替は無理だろう。結局、19,000円を両替して5,516元となり(1元≒3円44銭)、Chargeの20元が差し引かれ、手元には5,496元が渡された。ATMでおろした壱万円札3枚のうち、何枚が旧札だったのか。とにかく19,000円相当で台湾旅行をしなければならない。次に両替している日本人女性が「十万円を」と言っているのが聞こえてくる。不安を抱えたまま、台北市内へのバス乗り場へ向かった。 (つづく)
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臺灣桃園國際機場 第二航廈 (台灣省桃園縣大園鄉)
いずれも民國96年11月24日撮影