以前から迷っていたんですがついに買ってしまいました「漂流教室・完全版」。
本屋さんのPOPに「中川翔子の『翔』の字は、漂流教室の主人公『高松翔』から
とったって知ってた?」とありました。もちろん私は知っていましたよ…(ウソ)
それはともかく、「しょうこたん」がそれだけ思い入れがあるマンガだということですね。
楳図かずおさんのマンガは怖くてあまり読んでいないんですが(昔、怖いもの見たさに
いくつか読みましたが、いまだにその恐怖シーンやストーリーが頭に浮かび
ひとりビビりまくることが時々…)、氏の最高傑作のひとつであることは間違いないと
思います。この作品では、その『怖さ』はギリギリ怖がりの私でも読める程度に
抑えられているところも、万人にお勧めできるところです。(そのかわり、近い将来、
人類は滅亡するという別の意味での恐怖はたっぷり用意されていますが)
近未来を舞台にした「空想科学マンガ」ですが、プロットがしっかりしているので、一見
奇想天外、荒唐無稽な世界ながら、最後まで引き込まれ一気に読ませます。
連載開始から、最終話までの構想をしっかり練り上げていたと思われ、あっと言わせる
展開の連続でも、物語は大きな破綻なく進行します。
絶望的な状況下におかれ、まず大人(先生方)が狂気にさらされ全滅。子供たちも
徐々に正気を保てなくなり、次々絶命、最後は激しい飢餓が襲いかかり、それまで
理性を保ち皆を引っ張ってきたリーダー格の高松翔にも最大の危機が…
けっしてハッピーエンドではないけれども少しだけ希望を抱かせるラストもいい。
主人公・高松翔の活躍が目覚ましいが、それにも増して、その母の存在が大きく、
SFをベースにした、これは親子愛の物語なんだと気がつきます。
先ほど「荒唐無稽」と述べましたが、戦争、公害、乱開発などを繰り返した結果、
人類が滅んでしまった設定のお話。しかしながら、これはけっして絵空事ではなく、
現在人類はますますそのような状況へつき進んでいるのではと思われ、
30年以上前の作品ですが、それを予見しているのが今更ながら怖いのです。
もしまだ読んだことがない方は、一度マンガ喫茶ででも手にとってみてください。
*今日のお昼、NHK・アーカイブスで「大雪山・花紀行」って番組をやっていました。
1985年製作、今から25年前の映像でしたが、特筆すべきはやはり五色ガ原の
高山植物の大群落でしょう。大雪山を代表する花の名所でしたが、残念ながら
のち乾燥化が進み、現在ではあのような広大なお花畑はまず見られません。
今でも神遊びの庭や化雲平、黄金ガ原などではかつての五色ガ原に匹敵する
ような大規模の花畑が広がりますが、これもいつまで見られるのやら…
人類が滅亡、一面砂漠が広がるだけの世界に漂流しないため、今すべきことは。