このところ東川の町がお気に入りで、道の駅も居心地よく、しょっちゅうお世話になっている。
元々東川はとらえどころのない印象で、積極的には近寄りたくない場所だったのに、町の規模とか
雰囲気をとても心地よく感じ、最近長時間過ごすことが多くなっている。町自体にめぼしいものがなくとも、
少し足を延ばせば旭川なので、たいていのものはここで調達できるし、美瑛のような独特の美しい
景観には恵まれてなくとも、田園地帯ののどかな風景には事欠かない。
そのシンボルと言えば大袈裟かもしれないが、町の中心部(道の駅内)にモンベルがあって、観察していると、
老若男女問わず、多くの客が訪れていることがわかる。小さな子供連れも頻繁に見かけるし、
幼い頃からこんな店に親しめることがとてもうらやましく思えるのだ。
さて、今日はその東川のお祭りらしい。この時期北海道各地で催しものが開催されるらしく、一時の
猛烈な暑さで熱中症の恐れがあり、開催が危ぶまれたところもあると聞くが、ここ数日でグンと気温が下がり
その心配はまずなくなっていた。開催場所が道の駅近くで、ここの駐車場にも車が溢れていたが、
なんとか駐車スペースを確保することができたのは幸いだった。
屋台などもたくさん出ているようで、様子を伺ってみたかったが、疲れきっていて、その気力は
残っていないようだ。早く飲んで早く寝てしまおうとしていたら、美しい夕焼けが始まった。
夕日撮影ポイントだったら写真撮影できたであろうが、今更ジタバタしても仕方ない。
先日のバカボンのセリフではないけれど、「ムダに赤いな~」と空を見上げるしかなかった。
道の駅・道草館の建物と夕焼け。
そしてこれは翌早朝。モンベル店舗と朝焼け。この場所の欠点は、大雪山や十勝連峰などの姿が
少し移動しないと見られないこと。もしこの朝山が見えていたなら、それなりの撮影機会を
得ていたかもしれない。でも体が動かず、その気力が湧いてこなかった。
写真撮影を主な目的としてきている割にはこれだからねえ。
今朝の最低気温は13度台。この前は25度前後あったから、一気に10度以上下がったわけだ。
同じような調子で窓を少し開けて寝ていたら、明け方寒いくらいであった。
8月4日(土) 晴れ時々くもり
今回の旅行中、結局一度も時計のタイマーを利用しなかった。それだけ、絶対的にこだわりのある風景に
出会えなかったことが一番の要因かもしれない。なので、目が覚めて、周囲の状況を見て、初めてそこで
行動予定を決めるって感じだった。
が…なぜかこの日も2:00頃目が覚めた。テントから出ると、上空かなり雲が多く、月がおぼろげに見えた。
トムラウシは見えているようだが、これではあまりうれしがって早く行動しても無駄なように思えた。
せっかく外に出たのだから、小用を済ませようと避難小屋まで出向くと、高原温泉付近にビッシリ雲海が
あることがわかったので、これはダメ元でも出かけたほうがいいと思い直し、2:15頃歩き始めた。
行き先は緑岳山頂、板垣新道の大きな雪渓は、多少凍っていたものの、なんとかこけずに通過することが
できた。新道分岐まで来て、山際までビッシリと雲海が迫っていることが確認できた。昨夜は風が強かったし、
それほど冷え込みもなかったのにこれだけ雲海が発生するとは、明瞭な雲海の発生メカニズムは不明、
いまだに予測するのが難しくて困る。
まず月明かりを利用して、雲海とトムラウシを写してみる。ピントが合っているかがわからないので、
少しずつリングを微調整しながら何枚かシャッターを切ってみた。
そのうち東の空が焼け始めたので、今度は北大雪の山並みと雲海を入れて朝焼けの写真を撮り始めた。
そんな真っ赤っかに焼けはしなかったが、やはりこれだけ深い雲海があると、とてもダイナミックな光景だ。
再びトムラウシ方面を撮ってみる。西からの風が吹きつけ、体感温度はかなり低く、寒かった。
こうなると、数日前のあの異常な暖かさがありがたく、懐かしく感じられるから現金なものだ。
時間が経過し、雲海もだいぶ少なくなって、このあたりで撮影を切り上げた。しかしこのあとしばらくして、
再び高根ガ原をガスが流れ始め、また少し雲海が広がったようだ。よほど雲海が発生しやすい気象条件
だったのであろう。
ずっとひとりで撮影していて、機材を仕舞い、振り返ると、もうひとりが緑岳山頂に到着したところだった。
この方が名古屋のSさんで、たぶん直接お目にかかるのはこのときが初めてであったが、北海洋さんとは
動物写真撮影などでしばしば行動を共にされていて、話だけは何度もお聞きしていた人であった。
同じような場所に出没していたはずだから、隣り合わせたことなどあったかもしれないのに、これまで
まったく面識がなかったのが不思議なくらいだ。
彼は、今朝は雲海や朝焼けの撮影には間に合わなかったが、このあとしばらくナキウサギの撮影を
されたみたいだった。今年ナキウサギは多いのか、撮影こそできなかったが、私も何度か姿だけは
見ることができていた。
そして、北海洋さんは今日しか休みがないと言っていたので、夜掛けして登ってくるんじゃあなかろうかと
思っていたところ、案の定緑岳の中腹で雲海の写真を撮影していたそうだ。この朝は私の独壇場かと
思っていたが、ふたりで雲海ショーを楽しんでいたことになった。霧の中をヘッドランプつけて登って
きたそうだ。私だったらあきらめてすぐ引き返していたことだろう。
このあとSさんも私もそれぞれテントを撤収して下山、緑岳中腹で初の三人そろい踏みとなった。
彼らはここでもうしばらくナキウサギを撮影するそうで、二人を残し、私ひとり先に下山した。
大雪山上空にきれいな雲が流れていた。今回はこういう雲見ることが多かったなあ。
たった三日間だが花の咲き具合がずいぶん違うように感じた。登るとき、こんなにたくさん
エゾコザクラ咲いていたっけ?
そしてこの写真の少し手前、エイコの沢の急なガレ場を通過したところで、ニセコの看護師さんと
すれ違った。彼女と会うのは三度目かな。さらにその前、緑岳中腹で札幌のWさんともすれ違って
いたんだった。このあとも数日安定した晴天が続いたので、皆さん夏の大雪山を楽しまれて
下山されたことだろう。
11:20 高原温泉の駐車場に到着。ほぼ雨の心配することなく下山できたことには感謝しかない。
大雪高原山荘で温泉入浴。先に入っていた人が皆出てしまい、私ひとりの貸切となった。
極楽、極楽。