年末年始にかけて穏やかな日和がずっと続いていた和歌山市です。今日あたりがその
変わり目かもしれませんが、明後日以降、ずらっとまた晴れマークが並んでますねえ。
本日レモンの最終収穫を行いました。手前のほう、低い場所など、比較的とりよい
箇所ばかり残しておいたにしては、それでもけっこう苦労しました。この一か月余りで、
すっかりレモンイエローに変貌です。さて、このカゴにはいくつあるかわかりますか?
サザンカ、さすがにピークは過ぎてはいますが、まだまだつぼみがたくさんあるので、
今月いっぱいは楽しめそうです。今期は、ひとつひとつの花がとても大きいのが特徴です。
少しせん定して全体の枝ぶりをコンパクトにしたのと、夏場に毛虫の大量発生が
なかったことが要因でしょう。
菊とのコラボレーション。
今日、植木全般に寒肥を施しました。
ピンクラッパが咲き始めました。わずかながら、春の気配を感じる我が家の庭です。
さてレモンの数でしたね(すっかり忘れるところでした)。カゴには43個あります。
昨日5個切りとって妹に持たせたので、48個枝に残していたことになります。
これまで83個先取りしていたのと合わせ、今期は計131個の収穫となりました。
昨年の154個には及ばないものの、大収穫だったと言っていいかと思います。
今期は一個ずつが大きいのと、表皮がきれいなものが多いので見栄えもいいんですよね。
次の旅先で読むために準備していたのが「びっくり箱殺人事件/横溝正史著」です。
ですが、出発がまだまだ先になりそうで、結局自宅で読み終えてしまいました。
表題作には金田一耕助は登場せず、タッグを組むことの多い等々力警部のみが出演します。
ただし、警部はもうひとつ影が薄く、探偵役は別の登場人物が務めることになるのですが。
当時金田一ものばかり買い求めていた私としては、このびっくり箱~はかなり異例
となる存在で、なぜこんなイレギュラーが発生したかというと、単なる買い間違え
なんですね。当時は今のようにネットを通して膨大な情報を得られるわけではなく、
その横溝作品が金田一ものかどうかは、書店で実際本を手に取り、パラパラッと
ページをめくるなどし、金田一が登場するかどうかを確かめてから購入していました。
同時収録の短編「蜃気楼島の情熱」には金田一が登場するので、たぶんそのページを
見て早とちり、金田一ものだと勘違いして買ってしまったのです。
もしも私が相当な金田一マニアだとすれば、蜃気楼島~を読むためだけにこれを
買ったのだとすると別段何ら問題はないわけでしょうけど、さすがにそこまで
熱心なコレクターではないわけで、その点、購入は失敗だったと認めざるを得ない
でしょう。
ところが近年、このびっくり箱~を見直す気配となり、というのも、中長編である
この作品は、柏書房の「短篇コレクション」には収められず、さりとて「由利三津木」
ものでもなく、人気の金田一作品ではないので復刻など日の目を見ることもなさそうで、
いわば横溝作品としてはどこにも属さない宙ぶらりんな忘れられた日陰の存在、
それがかえって幸いし、もしかしてプレミアがつくかも?と淡い期待を抱いたのです。
しかしそれもつかの間の夢でした。このたびの角川文庫版の復刻販売でびっくり箱~
も再発売され、希少価値的な値打ちはなくなったのでした…
気を取り直して中身にも少し触れておくと、これは横溝作品でもかなり異色の作風で、
ギャグ基調とでもいいますか、語り口が他作品とは大きく違っていて、なるほどここに
金田一は馴染めそうになく、登場させられないはずだと納得しました。「獄門島」と
同時期に書かれたものだとはにわかには信じられません。この懐の深さと言いますか、
引き出しの多さが横溝さんなのでしょう。本格推理に属するような巧妙なトリックを
用いた展開にもかかわらず、奇妙奇天烈、相当なクセ球を投げられているのです。
しかし正直、読み進めるのは少々手こずりました。リズムが独特で、他作品のように
テンポよくとはいかず、途切れ途切れに読むことで、どうにか完読できたのでした。
やはりそれよりも圧倒的に親しみやすかったのが蜃気楼島~でした。短編ながら
トリックを工夫し、犯人をすぐには特定させません。それを打ち砕く金田一の
鮮やかな推理が冴え渡る、小品ではありますが完成度の高い逸品です。