旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

ぼくは化け物 きみは怪物

2024-11-16 18:27:30 | 図書館はどこですか




続けて読んだのが、「ぼくは化け物 きみは怪物/白井智之著」です。奇才、
白井智之さんの最新刊ですね。雑誌記載の中短編4編に書き下ろしをくわえた
全5編の推理小説です。

ジョブナイル風、任侠物、SF風とジャンルが多岐にわたり、一見脈絡なく
物語が並べられてはいますが、一貫しているのは、時代、舞台がどこであろうと
殺人事件が起こり、探偵役が登場し推理、謎を解き明かします。その意味では、
パッと見変格的ではあるものの、あくまでもジャンルは純然たる本格推理小説
だと言い切っていいと思います。

しかもその推理の筋道、犯人が幾通りも用意されているのも特徴で、突拍子
もないストーリーを考えつくだけでもすごい上に、いともたやすくトリックを
複数並び立てているのに毎度感心するしかありません。こんな複雑な謎解きが、
頭をひねることなく、すらすらッと浮かんでくるのでしょうかね?

前にも書きましたが、白井作品はけっして上品でなく、下ネタ、お下劣な内容の
オンパレードと言っても過言ないでしょう。しかしあまり不快感を感じさせない
のは、軽妙洒脱な文面と、はるか彼方から距離をとって物語を俯瞰しているかの
ような、第三者的な冷めた描写の賜物かもしれません。主人公サイドに感情移入
しながら読み進めることが多い私のような読書スタイルだと、突き放したような
客観的な語り口にやや物足りなさを覚えつつも、逆に頭を冷やしながら淡々と
読むことができるので、それが白井作品に惹きつけられる最大要因なのでしょう。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 旅にしあれば(2024.11-1)~... | トップ | 旅にしあれば(2024.11-2)~... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

図書館はどこですか」カテゴリの最新記事