ご病気から無事復帰され、再び精力的な音楽活動を始められた谷山浩子さんです。
ただ、コロナ禍の最中、コンサートなどは制約を受け以前のような本数を実施できない中、
届けられた新譜はDTM(=ディスクトップミュージック、パソコンなどを使用して制作される
音楽のことだそうです)を習得し使用、自宅でプライベート録音された作品で、新曲、
セルフカバー作品など、ボーナストラックを含め全11曲収録されています。
旅の間に自宅に届いていたこのアルバムをまだ聞くことができてなくて、これからの試聴を
楽しみにしているのですが、中でも気になるのが『なおちゃん』のリメイク版でしょうか。
なおちゃんはシングル曲のB面としてずいぶん前に発表された作品で、元々しっとりした曲調で
あるにもかかわらず、そのイメージとはかなりかけ離れたぶっ飛んだアレンジとなっていたため、
いつか録り直したいと谷山さんは思われていたようで、今回それが実現されたわけです。
その当時谷山さんのシングル曲のアレンジを依頼していたのが鷺巣詩郎さん。その音楽の
斬新性が『風になれ~みどりのために』や『ラ・ラ・ルゥ』などA面曲ではうまくハマった
ものもある一方、『銀河通信』やなおちゃんなどのB面ではその表現方法が突拍子すぎて、
首をかしげたくなったのは確かです。実際、銀河通信はのちに再アレンジされ録音された
バージョンのほうがずっと完成度が高まっていたしね。しかし個人的になおちゃんに関しては、
詩と曲調をまったく無視するがごとく突っ走るオリジナルもけっこう気に入ってるんです。
お祭りが始まるの?みたいなにぎやかなイントロ、なんか病みつきになるってのか…
鷺巣さんはこのあと「新世紀エヴァンゲリオン」の音楽を担当されるなどし、高評価を得たのは
多くの方がご存じのとおりです。時代が彼の先進的な音楽性に追いついたと言えるかもしれません。
谷山さんと組んだ頃は早すぎたのかもねえ。谷山さんと鷺巣さんの組み合わせは、今日的には
明らかに異業種混合、しかし、ミスマッチで片付けてしまうのは惜しいような気もします。
もし今なら、どんな風な銀河通信やなおちゃんになるのか、興味は尽きません。
不気味でインパクトのあるジャケットをモチーフにしたクリアファイルが購入特典。
あっちの世界に誘われそう。見える子ちゃんでなくても見えるかも。
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