晴れ間の多くなった午後に入山した。繰り返し何度も空振ると気が滅入るが、
雨ならいざ知らず、せっかく山に入れるチャンスを与えられているのに、一日中
ぼーっと過ごすだけなのはもったいなさすぎだ。
クロちゃん現場には岡山のAさんと二人だけ。Aさんとのおしゃべりの声だけが
響き渡り、山は今日も静まり返る。やれるだけのことはやったと、自分に言い
聞かせるしかない。しかし如何せん、結果が伴わないのはつらい。
モンベルには、地域の店舗限定のご当地デザインTシャツ(ウィックロン生地)が
用意されていて、大雪ひがしかわ店オリジナルのひとつがこのエゾモモンガ柄の
シャツだ。可愛いデザインが私にピッタリ、一枚自分用に買ってみた。ナキウサギ
とかシマエナガのも出してくれないかな。
三日続けてごはん屋ことさんでお昼を食べた。いろんなメニューを試してみたいのに、
つい日替わりランチに引っかかってしまい、本日は『肉豆腐』をいただいた。ゆで卵
が一個丸ごと入っているし、これで600円でペイできるのだろうか? このところ
自身で食事をつくるようになり、コストに関する意識がより高まっているのである。
何もかも値上がりで、安くあげるのに一苦労するよねえ。この日日替わりは、
『スタミナ納豆』との二種類から選べた。レギュラーメニューだけでもけっこう品数
あるし、用意、対応するの大変だよなあ。私など、おかず一品つくるのに四苦八苦。
この店では、多くのメニューが1000円弱で食べられる中、異色的存在が
『厚切りジンギスカン定食・1800円』だ。後ろの席のおじさんが頼んでいた
ので観察すると、ものすごい量のお肉がお皿にてんこ盛り状態だった。う~ん、
いつかは食べてみたい。
9月11日(水) 雨のち曇り
図書館で雑誌二冊を読んだ。
漫画家の萩尾望都さんは「スケッチ魔」らしく、スケッチブックに残された
デビュー前後からの膨大な量の作画から、一部を抜粋して掲載、解説され、
萩尾さんのクリエイターとしての足跡、歴史を紐解いている。もちろん、代表作
とされる『ポーの一族』や『11人いる!』などの有名作品は、多くのページが
割かれ、特に詳しく紹介されている。
絵心ゼロの私に言われてもご本人うれしくないだろうが、恐ろしいほどの画力の
高さに唸る。萩尾さんの十分の一程度でいいから、私にも少しの画才があればと
うらやむばかりだ。恥をかく代わりに、絵を描く人生があったかもしれないのだ。
萩尾さんは今もって現役で、ポー~の新作などを描き続けているのもすごい。
とても古いバックナンバーの「岳人」で、加藤文太郎の特集を読んだ。私は
中学時代、読書感想文の課題本で、加藤さんをモデルとした『孤高の人』を読んで
感銘を受けた一人だ。まさかその時には、運動音痴な私が、週末六甲山に通ったり、
登山を趣味にすることになろうとは夢にも思わなかったのだが。孤高~は著者・
新田次郎氏によって、加藤さんの経歴などを下敷きにしつつも相当にアレンジされ、
あくまでフィクションとして成り立っている小説である。なので主人公・加藤は
ヒーロー然として聖人君主的に描かれ、その分悲劇的な最期は、より美化されて
ドラマチックに盛り上がる。
しかし実際のご本人はもう少し人間味のある方のようで、後年読むことになる
谷甲州氏の『単独行者』で描かれいる人物像がそれに近いらしい。登山中の様子、
出来事なども、新田版とは異なり、より多くの資料が残されている実際の山行を
もとになるべく史実を踏まえて描かれていて、全体としてノンフィクションに
近い仕上がりとなってるようだ。ただしその分、物語としては盛り上がりに
やや欠けるのは止むを得まい。
孤高~は掛け値なく面白作品なので、登山しない方々にも広く勧められる一冊で、
もしそれで加藤さんの足跡をもう少したどりたいと思ったら、谷さんの著作を
読んでみたり、加藤さんが残した手記をまとめた『単独行』に手を出して
みてはいかがだろう。単独行、私はまだ読んだことがないのだけれど。
おたふくかぜ ひいてまんねん
地を這い
岩を駆ける
なきうさ現場では珍しく、エゾリス登場
気配を伺う
警戒する
周囲の安全を確認し、空気孔のパイプ(巣穴にしている?)に入る
【十勝岳山麓のシマリス&エゾリス 2023.09 撮影】
9月10日(火) 晴れのち曇り
美しい朝焼け雲が山上に流れた。繰り返しになるが、このシチュエーションを活かし
きれないのがもどかしい。
現地到着後ほどなくゴソゴソと草をかき分けるような音が聞こえ、早々にクロちゃんが
活動を始めていた。これは幸先がいい、遅ればせながらスイッチが切り替わったかなと
思ったのも束の間、行動はあまり長続きしなかった。あとから函館のT夫妻、若い男性
二人組がやってきた。
私は切り上げて上の現場へ。ここは基本相変わらず閑散としていて、かろうじて
(短時間)二匹を写せたのが関の山だった。ほとんど貯食活動しておらず、これで
間に合うのか、越冬体制。
連日のごはん屋ことさん日替わりメニュー。本日は「肉じゃが」。肉じゃがは
私が頻繁につくる献立のひとつだが、私のは「めんつゆ」を利用したお手軽版、
「おふくろの味」風の味付けとは程遠い仕上がりが悩みの種。食べ比べてみたい
気がして注文してみた。具材のジャガイモとニンジンがこんなに大ぶり、しっかり
中まで火を通しやわらかく煮込むには、事前にレンジにでもかけておくのだろうか?
私がつくるのは、早く火が通るように具材が小さめで、余計にしょぼく感じるん
だよなあ。
カケス
ゴジュウカラ?
ハイマツの茂み(ねぐら?)からゴソゴソッと大きな音をたてて
出てきたのがギンザンマシコのオス
エンジ色の派手なカラーリングで登山者に人気があり
これまで山中で何度か見かけたことはあったが
こんな近くに現れ、写真を撮れたのは初めて
でっぷりとした体形で、目元がユーモラスなことも
今回初めて知った
【なきうさ現場で見かけた鳥たち 2023.09 撮影】
9月9日(月) 曇りのち時々晴れ
夜半、前線の通過に伴い風が強まり雨もパラついたようだ。早朝、山上部に
雲は多いものの、天気は回復傾向。
まずクロちゃん現場へ。今日も不発なら、十勝側への移動も考えていたところ、
察したわけではなかろうがクロちゃん登場。ただし、鳴き声もなく突然現れたので、
よくぞ見過ごさなかった感じだ。一度だけ貯食行動を行う。のち、函館のT夫妻
現場へ現れる。
ほどなく中ポイントへ下がったら、ここで岡山のAさんと再会。お盆過ぎから
道内入りしている彼女によると、この秋もナキちゃんの出は記録的に悪いようで、
撮影機会ゼロで終わることは珍しいことでないらしい。なので、地元の常連さん
らはあまりやって来ないという。東ヌプカと駒止湖はそれなりに出ているとのこと
なので移動するか迷ったが、せっかくクロちゃんの健在を確認できたので、もう
しばらくこちらで粘ってみることにした。
ごはん屋ことさんで日帰りランチ「グリーンカレー・600円」をいただく。
黒つぶれしているが左奥はサラダ。カレーは美味、しかもお野菜たっぷりで
このお値段は魅力的。ランチ・メニュー目当ての客が続々ご来店。
このところ、山がきれいに見えていることが大変多い。それを撮影に活かすことが
出来ていないのが残念だ。
9月8日(日) 晴れ時々曇り
昨日よりは出没状況がいいことを期待して、出が良かった上部地点へ
直行して待機した。鳴き声があちらこちらから響いてきて、成果を残せそうな
予感が走る。がしかし…姿がまったく見えない。フィールドが広いので
私が見落としている可能性もあるにはあるが、採食など行動が活性化する
気配がまるでないように思える。結局滞在中、チラリとも姿を拝むことが
できずに終わった。下山がてら、他の地点も覗いてみたが、どこも音なしで、
しかも、撮影者がほとんどいないのだ。日曜日と好天が重なっていると
いうのに… 地元の常連さん、状況をよく知ってらっしゃるようだ。
夏と秋が同居しているような北海道は、日が差すとまだまだ強烈で、車内は
一気に蒸し風呂と化し、朝の冷え込みとの温度差がありすぎて感覚が追い
つかない。写真は狂い咲きしたエゾイソツツジで、なぜかいまだにエゾゼミが
あちこちで鳴いている。ナキウサギの出が悪いのはこのせいばかりでない
だろうが、異常気象(猛暑)の影響を何かしら受けているようには思う。
車のヘリカルアンテナにとまった今回初来店の赤とんぼ。君は季節を間違って
いないよねえ??
この子は、夏によく見かけたちびうさだと思われる
秋はあまり出てこなかったので心配していたが
無事生存確認できた
緑色の細い葉っぱがお気に入りで
繰り返し何度も食べていた
エゾイソツツジらしい若木をパクリ!
相変わらずの大食漢
【十勝岳山麓のナキウサギ 2023.09 撮影】