旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

本格焼酎(乙類)が勢いをつけた焼酎ブーム

2007-07-06 22:11:55 | 

 

 消費量の低下を続ける日本酒は、純米酒――特に純米吟醸酒(いわゆる本物の日本酒)などにより歯止めをかけようとしているが、焼酎は、正に本物の焼酎”本格焼酎”により、焼酎ブームを巻き起こした。
 日本酒の地酒ブームの発端となったのが、頑固に本物を追求し続けた「越乃寒梅」などの地方の小蔵であったように、質の高い焼酎ブームに先鞭を付けたのも、垂水市の「森伊蔵」など小蔵であった。農家との契約栽培による原料サツマイモ《コガネセンガン》にこだわり、昔ながらの製法でじっくり熟成醗酵させた森伊蔵の味を、本物を求める嗜好家は見逃さなかった。やがて続いた魔王村尾と「3M」などと呼ばれて、焼酎ブームを引っ張っている。ただ、プレミアムなどついて庶民の口に届かないのが気になるが・・・・・・。
 ついに焼酎の消費量は日本酒を抜いて(平成12(2000)年)、いまやデパートなどの酒売り場でも主要な位置を焼酎が占めている。多くの飲み屋でも、日本酒より先に焼酎の銘柄が並ぶ。しかも以前のように「焼酎」と掲げられるのではなく、芋、麦、黒糖、泡盛など種類ごとに、産地と銘柄が正確に書き並べられている。日本酒も「お酒」とだけ書かれていたメニューが、今や吟醸、純米、本醸造などの種類と産地、銘柄が書かれるようになったから隔世の感があるが。

 やはり本物が文化を育てていくのである。何を飲んでも同じ味の甲類焼酎やアル添三増酒では、酒屋も飲み屋も「焼酎」とか「お酒」と書くしかなかったであろうし、注文する方もそれで足りたのである。しかし、銘柄ごとに味が違い、微妙な個性を主張するようになれば、それぞれの銘柄を正確に示して初めて商売が成立し、その競合の中で質が高められていくのである。
                             


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