旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

つい手が出た焼酎「伊佐美」

2007-07-07 10:42:46 | 

 

 最近の本格焼酎ブームの牽引車の一つに「3M」(森伊蔵、魔王、村尾)がある、と書いた。しかし私には、これらの酒が有名になる前から好んで飲んでいた焼酎がある。大口市の「伊佐美」である。
 この蔵は明治32年創業と言われているので、明治18年創業の森伊蔵などより新しい蔵である。しかし私にはずーっと昔からある蔵に思え、私の中の焼酎としては「古典的な焼酎」に位置する。
 なんといってもラベルが面白い。上が満開の桜で下がたわわに実った稲である。つまり、春と秋が一緒になっている。最初はそのような面白さに惹かれたりしたのであるが、飲んで美味しくなければ続けて飲むことはしない。私にとって不思議に離れない焼酎である。
 もちろん、伊佐美ファンは私に限らない。その底辺は相当に広い。3Mに常に肩を並べている焼酎の一つである。

 一昨日、名古屋出張で栄町のUという飲み屋にぶらりと入った。初めての店であったがなかなか気に入った。日本酒のメニューに徳島の「芳水」があるので、久しぶりに味わった。
 その酒のメニューの前に、昨日も書いたようにたくさんの焼酎の銘柄が並んでいた。他店の例にもれず、筆頭に森伊蔵、次が魔王、ところがその次に伊佐美が並び、この3銘柄だけが他の焼酎の二倍近い値段となっていた。つまり別格なのである。
 私が「森伊蔵と魔王は分かるが、なぜ伊佐美を選んだか?」と板前さんに問うと、「とにかくおいしいんですよねえ」と応えた。
 つまり実力は争えないのである。私は、同じく「きりっとして美味しいから選んだ」と板前さんの言う「芳水」をたっぷり飲んだ後でもあり、そろそろ引き上げようかと思っていたが、どうしても伊佐美を飲みたくなって、ついに注文して、その夜はいささか飲みすぎた。
 いい酒というのはそのようなものであろう。
                                


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