光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

「鉄道『大百科』の時代」

2020-02-06 05:42:03 | 書籍
今回は久しぶりのケイブンシャの「大百科」ネタです。
南正時著「鉄道『大百科』の時代」(実業之日本社)

表紙を見て懐かしさに焦がれる向きも多いかもしれませんが、本書はかの「ケイブンシャの大百科」シリーズの中でも特に鉄道ジャンルに特化して当時の著者の南正時氏が当時の思い出とシリーズの俯瞰を記したものです。
更に当時の「特急・急行大百科」の人気記事「ブルートレイン『富士』同乗記」をそっくり再録しているというなかなかお得感の高い内容(笑)

元々「原色怪獣怪人大百科」からスタートしたケイブンシャの大百科シリーズは当初は特撮物を中心に展開していましたが徐々にスポーツや芸能、各種ホビーなどのジャンルを取り込みながら「子供のカラーブックス」並みのジャンルの広さを誇る一大シリーズに成長しましたが、その中でも鉄道物はごく初期の頃からラインナップされていて大百科シリーズを支える一大勢力に成長していました。

当時これらの大百科をきっかけに鉄道趣味に入り込んだ小・中学生は非常に多かったと思います。

ただ、私は当時は微妙にそれより上の年代だったのでリアルタイムでそれらにハマる事はありませんでした。が、弟が他の大百科と共に鉄道ネタも何冊か買っていたのを最近になって目を通し、その内容のわかりやすさと濃さに感心したものです。
乗車ルポなんかはビジュアル中心で子供にも分かりやすく鉄道旅の魅力を伝えてくれますし、当時の類書の一部にありがちな「子供相手だから」みたいな砕けすぎたキャプションや文章も思いのほか少なく、大人が読んでも楽しめるようになっているのも美点と言えます。

何よりも本書を読んでいると70年台後半から80年第前半にかけてのSLブーム~ブルトレブームにかけての出版側の熱気が手に取るように伝わってくるのが心地いいのです。
そしてこういう本は今読んでいても「何か元気をもらった様な気分」になれて嬉しいものがあります。
今の鉄道本は資料性こそ高いものの不思議と堅苦しさがつきまとう、或いは単なるマニアのスノビッシュな自慢話みたいなものが多い気がします。

それに比べて、構成上の穴や隙があるにしろ趣味の楽しさをアピールしようという勢いを感じさせるこういう本にまた出会いたい気もしています。