光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
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GMのバス営業所キットで思いついたこと

2020-02-23 05:41:03 | ストラクチャー
 今回はかつて作ったストラクチャーキットに絡む因縁話みたいなネタです。

 この趣味を再開して間もない頃、いつか使うつもりで買い入れたGMのバス営業所のキット。

 モデルとしては素組みで特に目新しいこともないのですが、看板だけはオリジナルにこだわりました。
 昭和50年代始め頃まで建物が存在していた盛岡の「東日本急行」というバス会社。実はある写真集でその建物を見た折、妙に懐かしい感じがしていたので、形は違っていても雰囲気くらいは近づけたいという思いから看板を差し替えたものです。

 その時はそれですみましたし、のちのレイアウト製作でその営業所が使われることもなく10年くらい記憶の隅に追いやられていました。

 その建物がわたしの中で再び注目されたのはつい先日の事です。
 たまたま故郷にかつて存在していた映画館(もちろん今はありません)について調べていた折、上記の東日本急行バスの建物の位置に昭和40年代のはじめ頃まで映画館があったという事を知ったのです。

(地方公論社刊 伊山治男著「この角を曲がれば」34Pより画像引用)
 改めて写真を見返して見ると建物の古ぼけ具合から見て映画館を取り壊してバス営業所を建てた様には見えない。

 つまりこのバス営業所は「映画館の建物を改修してバス車庫に転用した」と見るのが正しい様です。その目で見ると単なるバス営業所としては屋根が異様なほど高いのです。おそらくこのプロポーションがなんとなくGMのバス営業所キットに近かったので看板を差し替える気になったのではなかったかと思いつきました。

 ところでそのGMのバス営業所ですがこれまた後に出たジオコレやジオタウンのバス営業所に比べて異様に大きい。当のGM自身エコノミーキットと称するストラクチャーキットのセットを出した折におまけとしてこれよりふた周りは小さいバス営業所のペーパーキットを付けていたくらいですから、このキットの異様な大きさを認識していた節があります。


更に予告のみで発売に至らなかったストラクチャーキットの中に「映画館」というのがありまして、試作品の写真を見る限りバス営業所の屋根部分を転用している様です。

(クラッセ刊 鈴木文彦著「岩手のバスいまむかし」30Pより画像引用)
 恐らくですが「かつての映画館の建物がバス営業所に転用された」というケースは他にも結構あったのでしょう。GMの企画者がこの実例を踏まえて「映画館に転用できるバス営業所」を考えていたのではないでしょうか。
(実物とは逆のパターンですが)

 実はこの考察を生んだ「昔の映画館」の資料集めですが、建物の個性とか立地の特異性とか(昭和30年代の映画黄金期には「まさかこんな所に!」という様な場所にまで映画館があったという記録があります)なかなか興味深いものがありました。
 ただ、この形状と側板の鉄扉の多さからすると映画館よりも「映画の撮影所」の方がぴったりくる気もします。或いはこれまたGMカタログの予告で終わった「空港の格納庫」なんかも。

 レイアウトの中に「映画館通り」を作った事のある身からすれば「この世界もなかなか奥が深い」と思えます。