光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
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今月の新刊から「ビンテージモデルメンテナンス」

2022-05-19 05:42:03 | 書籍
久しぶりに購入した鉄道模型本の新刊から

イカロス出版の「Nゲージ再生プロジェクト ビンテージモデルメンテナンス」
本書はこれまで隔月刊の「N(エヌ)」で連載されてきた旧モデルのレストア、メンテナンス記事の総集編です。

N(エヌ)での連載当時は「旧モデルのレストアネタが連載されている」というのに大いに驚くとともに「纏まった一冊で読みたい!」(何しろいつから連載が始まったのかわかりませんでしたし、バックナンバーを漁るにも一苦労しそうでしたから)という思いが強かったですから。

今になってようやく一冊分のボリュームが揃ったというのはとても有難い事です。

先日、手に入れた本書を開いて驚いたのが「トップ記事が関水金属の初代C50の分解整備」だった事。

初代C50と言えば、今では悪いコンディションの物でも奥なんかでは相当な値が付くだけに、分解整備も腰が引けがちになるもの(とはいえ、そんな悩みを持つユーザーはごくごく一部でしょうが)ですが本書ではそのC50を個々のパーツレベルまで完全分解、整備しているのですからびっくりしない訳がない(笑)
しかも大トリを務めるのがなんと「MOREのキ620(プロトタイプにない「自走機能」が付いていた謎の除雪車モデル)」ですよ奥さん!!

以後、学研の新幹線やらマイクロの185系やらTOMIXの西武レッドアローやら1970~80年代にかけてのヴィンテージモデルが惜しげもなく次々と分解・整備されてゆくのが豊富な写真と共に要領よく示されるのですからですから、レストアファンにはたまりません。
子供の頃読んだ学研の図鑑に「乗り物の図解」という交通機関の解剖図だけを集めた一冊がありましたが、本書はさしずめそれの模型版といったところでしょうか。

分解と共に各モデルについての整備ノウハウにも触れられていますが、わたしのこれまでのレストア体験に照らし合わせてみた範囲では内容も概ね的確と思います。

本書で取り上げられているモデルのいくつかは、かつてわたしもジャンクに近いコンディションで入手し資料(専ら当時のTMSやとれいんなど)を片手におっかなびっくりの腰だめ状態で分解・整備をやらされたものですが、それをやっていて思うのは「こんなアホな作業に血道をあげる馬鹿はわたしくらいのものではないかしら」という疑心暗鬼にも似た自嘲でした。
それがこういう入門書が出ている辺り、今ではこういうのも「テツドウモケイの趣味の1ジャンル」として定着しつつあることを実感します。

また、その過程を追う中でテツドウモケイの「模型としての進化」のプロセスを追体験する愉しみ」というこれまた新たな魅力に注目させてくれる点でテツドウモケイ本の中でも久しぶりの名著ではないかと思います。
そういう点も勘案すれば、本書はレストアに片足を突っ込んだひねくれファン(あ、わたしも入るかw)のみならずNゲージ歴の長いオールドファンや逆にビギナーながらNゲージの歴史に興味を持った人などにも大いにお勧めできる一冊と思います。