司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「会社法施行後の会社の目的における具体性の審査の在り方」に関する意見募集

2006-01-05 14:54:47 | 会社法(改正商法等)
 法務省のHPで「会社法施行後の会社の目的における具体性の審査の在り方」について、パブコメ実施中である。平成18年2月3日(金)まで。
http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJI65/pub_minji65.html

 会社の目的について、具体性を問わないこととされる方向である。会社法施行により類似商号規制が廃止されるので、同一の営業に該当するか否かを審査する必要がなくなるため、目的の審査において具体性の有無を考慮要素としないことになるものである。登記簿上の公示という観点からは、もちろんある程度の具体性が要求されるべきであるが、それは申請人側の判断、自己責任に委ねられることになる。具体性のない目的を登記している会社が取引先等から相手にしてもらえない不利益等は当該会社が、そのような会社と取引することから生ずる不利益等は当該取引先が、負うべきということである。まさに、「自己責任」の世界であり、一貫した「定款自治」の具現化といえよう。

 許認可の申請に際しては、目的の具体性は当然必要であるし、金融機関に融資を求める場合も資金使途である「いかなる事業を行うのか」が審査の対象とされるから、同様である。創業者以外に広く株主を募る場合も具体性のある目的を登記しておくことが事実上要求されよう。しかし、それ以外の債権者等は、「自己責任で取引しなさい」ということになる。

 米国では、

The purpose of the corporation is to engage in any lawful act or activity for which corporations may be organized under the General Corporation Law of Delaware.

というように「○○州法を準拠法として設立された法人にとって合法な事業を営むこと」と包括的に定めるのが一般的であるが、プラスアルファ的に会社の主たる事業または活動を明定しているようである。

 日本でも具体性の有無を考慮しないということになれば、米国と同じように目的を定めるケースも増えそうである。とはいえ、あまりにも目的が漠然としていると対外的に会社の実体を明確に表現し難いので、しばらくの間はほぼ従来どおりの実務の在り方が続くものと思われる。

 ところで、「一般的には営利性を有しない目的」の登記の可否については、パブコメの対象となっていない。どうやらこちらも緩和の方向のようであるが、こちらは受容し難い。究極的には、営利性とは、利益を構成員に分配するか否かということであり、営利性を有しない事業を行うことも否定はできないといえるが、営利企業たる会社が、「目的」として営利性を有しない事業を掲げること自体背理であるからである。
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NPO法の運用マニュアル

2006-01-05 08:10:06 | いろいろ
NPO法マニュアル作成へ 千葉県、初の本格的解説書 (共同通信) - goo ニュース

 千葉県がNPO法運用マニュアルを作成するそうだ。

 非営利法人制度創設に際しても、NPO法人制度は存続する模様。

cf. 内閣府NPOホームページ http://www.npo-homepage.go.jp/
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