ビジネス法務2009年1月号(中央経済社)に、弁護士郡谷大輔「組織再編における反対株主買取請求権の実務対応-株主の範囲と株式の取得時期-」が掲載されている。上場企業の法務担当者にとっては、必読である。骨子は、次のとおり。
1.株主総会決議を要する場合
基準日後に株式を取得した株主(基準日前に取得していたが、名義書換未了のケースを含む趣旨か?)の行使の可否については、両説成り立ち得るが、「株主総会において議決権を行使することができる株式に係る株主」と解して、買取請求権の行使を認めないという処理が実務的には便宜である。
2.要しない場合
簡易組織再編行為においては、すべての株主が効力発生日の前日まで買取請求権を行使することが可能であるので、基準日を設定し、反対株主の買取請求権を当該基準日株主の行使できる内容と定めて、会社法第797条第4項の規定による公告と併せて公告をする、という対応をすることが考えられる。
cf. 平成20年9月9日付「簡易組織再編における総会承認決議」
平成20年9月4日付「株式買取請求権を行使することができる株主を確定するための基準日公告」
しかし、「基準日後の株主」については、「基準日後に株式を取得した株主」と「基準日前に株式を取得していたが、基準日後に名義書換を了した株主」を区別して論ずるべきであろう。私見は、次のとおりである。
「いわゆる失念株主の権利行使の可否であるが、株式譲渡が有効になされている以上は「株主」であり、基準日時点での対抗要件の欠缺から会社に対して株主としての権利を主張できないだけである。名義書換を了すれば、基準日に関わらない権利行使をすることができるのはもちろんである。
本件では、議決権の行使に関する基準日が設けられており、会社が対抗要件の欠缺を主張して失念株主に議決権の行使を認めないのであれば、当該株主は、「議決権を行使することができない株主」(会社法第797条第2項第1号ロ)に該当する。したがって、株式買取請求権の行使を認めるのが妥当である。
なお、基準日後に株式を取得している場合は、株主総会においては譲渡人が議決権を行使できるのであるから、譲受人たる株主は、株式買取請求権を行使できないと考えざるを得ないであろう。」
cf. 平成19年10月19日付「基準日後の名義書換と株式買取請求の可否」
1.株主総会決議を要する場合
基準日後に株式を取得した株主(基準日前に取得していたが、名義書換未了のケースを含む趣旨か?)の行使の可否については、両説成り立ち得るが、「株主総会において議決権を行使することができる株式に係る株主」と解して、買取請求権の行使を認めないという処理が実務的には便宜である。
2.要しない場合
簡易組織再編行為においては、すべての株主が効力発生日の前日まで買取請求権を行使することが可能であるので、基準日を設定し、反対株主の買取請求権を当該基準日株主の行使できる内容と定めて、会社法第797条第4項の規定による公告と併せて公告をする、という対応をすることが考えられる。
cf. 平成20年9月9日付「簡易組織再編における総会承認決議」
平成20年9月4日付「株式買取請求権を行使することができる株主を確定するための基準日公告」
しかし、「基準日後の株主」については、「基準日後に株式を取得した株主」と「基準日前に株式を取得していたが、基準日後に名義書換を了した株主」を区別して論ずるべきであろう。私見は、次のとおりである。
「いわゆる失念株主の権利行使の可否であるが、株式譲渡が有効になされている以上は「株主」であり、基準日時点での対抗要件の欠缺から会社に対して株主としての権利を主張できないだけである。名義書換を了すれば、基準日に関わらない権利行使をすることができるのはもちろんである。
本件では、議決権の行使に関する基準日が設けられており、会社が対抗要件の欠缺を主張して失念株主に議決権の行使を認めないのであれば、当該株主は、「議決権を行使することができない株主」(会社法第797条第2項第1号ロ)に該当する。したがって、株式買取請求権の行使を認めるのが妥当である。
なお、基準日後に株式を取得している場合は、株主総会においては譲渡人が議決権を行使できるのであるから、譲受人たる株主は、株式買取請求権を行使できないと考えざるを得ないであろう。」
cf. 平成19年10月19日付「基準日後の名義書換と株式買取請求の可否」