司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

会社法制の見直しに関する要綱案についての考察(1-2)

2012-09-10 12:09:23 | 会社法(改正商法等)
第3部 その他
第3 その他
2 監査役の監査の範囲に関する登記
 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社について,当該定款の定めを登記事項に追加するものとする。


 この変更の登記は,監査役設置会社に関する事項の変更なので,いわゆる「その他の変更」(登録免許税法別表第一 第24号(一)ツ)に該当し,何の手当てもせず課税されると,登録免許税は,金3万円である。

 監査役を置いている株式会社のうち大多数について,この変更の登記をする必要があり,影響は,甚大である。例え非課税にするにせよ,一定の猶予期間を設けて株式会社からの申請に委ねるのは,適当でないであろう。

 試論としては,公開会社でない株式会社については,改正法の施行日をもって,職権で「監査役の監査の範囲に関する登記」を行い,当該定款の定めがない株式会社については,その後,当該株式会社からの申し出ににより更正の登記を行う(ただし,非課税とする。)という取扱いを採るべきではないだろうか。

 商業登記法が,「商法,会社法その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより,商号,会社等に係る信用の維持を図り,かつ,取引の安全と円滑に資することを目的とする」(同法第1条)ことに鑑みれば,改正後は速やかに真正な登記がされるべきであり,比較衡量すれば,試論のような策を採用すべきであろう。
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法制審,会社法制の見直しに関する要綱をまとめ,法務大臣に答申

2012-09-10 11:37:40 | 会社法(改正商法等)
日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS07022_X00C12A9PP8000/

 法制審は,9月7日,会社法制の見直しに関する要綱をまとめ,法務大臣に答申した。

 秋の臨時国会に上程される?
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会社法制の見直しに関する要綱案についての考察(11)

2012-09-10 11:24:13 | 会社法(改正商法等)
第5 会社分割等における債権者の保護
1 詐害的な会社分割等における債権者の保護
① 吸収分割会社又は新設分割会社(以下「分割会社」という。)が吸収分割承継会社又は新設分割設立会社(以下「承継会社等」という。)に承継されない債務の債権者(以下「残存債権者」という。)を害することを知って会社分割をした場合には,残存債権者は,承継会社等に対して,承継した財産の価額を限度として,当該債務の履行を請求することができるものとする。ただし,吸収分割の場合であって,吸収分割承継会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害すべき事実を知らなかったときは,この限りでないものとする。
(注)株式会社である分割会社が吸収分割の効力が生ずる日又は新設分割設立会社の成立の日に全部取得条項付種類株式の取得又は剰余金の配当(取得対価又は配当財産が承継会社等の株式又は持分のみであるものに限る。)をする場合(第758条第8号等)には,上記の規律を適用しないものとする。
【以下,略】



 詐害的会社分割が行われる場合,対価として受け取る吸収分割承継会社又は新設分割設立会社の株式をそのまま保持するわけではなく,第三者に売却するのがほとんどである。とすると,

(1)吸収分割の場合
 吸収分割における対価が不相当である場合と,株式を売却する際の対価が不相当である場合とがあり得る。後者の場合であれば,株式の譲渡について,詐害行為の取消しを問題とすればよいはずである。

(2)新設分割の場合
 新設分割における対価が新設分割設立会社の株式であれば,対価については問題とならず(1株であろうが,1万株であろうが,差異はない。)問題とすべきは,株式を売却する際の対価が不相当である場合である。したがって,株式の譲渡について,詐害行為の取消しを問題とすればよく,会社分割について,詐害行為の取消しの問題は,生じないはずである。


 会社分割後に分割会社が清算手続に入ることを予定しているのであれば,法的整理との組み合わせでなくても,債権者から合意を取り付けて進めるべきであろう。
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クラヴィスの破産管財人,プロミスからの回収を図る

2012-09-10 10:33:33 | 消費者問題
産経新聞記事
http://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/120909/bsg1209091210002-s.htm

 クラヴィスの破産管財人は,クラヴィスから債権譲渡を受けたプロミス(現SMBCコンシューマーファイナンス)が支払った過払金返還金をクラヴィスが補填していたことから,当該金額をプロミスから回収しようとしているらしい。
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