第3部 その他
第3 その他
4 発行可能株式総数に関する規律
① 株式の併合をする場合における発行可能株式総数についての規律を,次のとおり改めるものとする。
ア 株式会社が株式の併合をしようとするときに株主総会の決議によって定めなければならない事項(第180条第2項)に,株式の併合がその効力を生ずる日(以下「効力発生日」という。)における発行可能株式総数を追加するものとする。
イ アの発行可能株式総数は,効力発生日における発行済株式の総数の4倍を超えることができないものとする。ただし,株式会社が公開会社でない場合は,この限りでないものとする。
ウ 株式の併合をする株式会社は,効力発生日に,アによる定めに従い,発行可能株式総数に係る定款の変更をしたものとみなすものとする。
② 公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合には,当該定款の変更後の発行可能株式総数は,当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍を超えることができないものとする。
③ 新設合併等における設立株式会社(第814条第1項)の設立時発行株式の総数は,発行可能株式総数の4分の1を下ることができないものとする。ただし,設立株式会社が公開会社でない場合は,この限りでないものとする。
http://www.moj.go.jp/content/000100819.pdf
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上記以外の場合として,公開会社において,自己株式の消却が行われた結果,発行済株式の総数が減少し,発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超えることとなる事態が生ずることもあり得る。
上記の要綱案では,この場合について,明らかではないが,改正の趣旨は,公開会社においては,すべての理由により発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超えることとなることを認めないというものであろうから,おそらく自己株式の消却の場合についても,法律案では手当てがされるものと思われる。
ところで,改正法施行の際,公開会社であって,発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超えている株式会社についてどのように取り扱うかであるが,改正の趣旨からすれば,おそらく4倍規制を及ぼしめるものであろう。
どのような経過措置を定めるのか難しいところであるが,そのような株式会社については,例えば,「改正法の施行後も,最初に開催される株主総会の終結までは,なお従前の例による」旨の経過措置を置くことになろうか。