司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

登記書類の自動作成サービス

2019-01-17 23:18:07 | 会社法(改正商法等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40107820X10C19A1000000/

 私見であるが。

 記事にあるとおり,「提携先司法書士法人にメールやチャットなどで無料相談もできる」ということであれば,法務省の回答にある「登記所に提出する株式会社の本店移転の登記に必要となる登記申請書、印鑑届出書等を利用者の判断において作成する場合に限定されており、個別の事案において利用者からの依頼に基づき個別具体的なアドバイスをするようなものでない限りにおいて」の範疇外となるであろう。

 相談対応する者が司法書士で,無料であったとしても,当該相談が事業者が行う「登記支援サービス」に附随して行われているのであれば,当該「登記支援サービス」と一体のものと評価することができ,当該事業者について,

「個別具体的な事案に応じて,利用者からの依頼に基づき,その入力内容についての相談を受け,及び入力内容を具体的に教示する行為は,一般的に,利用者の依頼の趣旨に沿って適正な書類を作成すること等のために必要な相談(利用者の依頼内容を法律的に整序するための相談)に該当し,法第3条第1項第5号に規定する事務を業として取り扱ったと評価をされるおそれがあるものと考えられる・・・個別具体的な事案を前提として登記の申請に必要となる添付書面やその内容について相談を受けたり,アドバイスしたりすることなどは,法第3条第1項第5号に規定する事務を業として取り扱ったと評価をされるおそれがあるものと考えられる。」

ということになると考えられる。

cf. 平成30年11月8日付け「利用者が本店移転登記手続に必要な書類を生成できるWEBサイトを通じたサービス等の提供について」


 そもそも「株式会社」を選択するのであれば,会社法の規定に則って運営されるべきであり,法律の知識がないままに,「WEBサービスに入力するだけで作成した議事録で登記申請しました」というレベルの意識で経営されるべきではないであろう。

「会社法の規定に則った運営」を「過度の負担」に感ずるのであれば,そもそも「会社」を選択すべきではない。

「株式会社」の登記をして経営することは,対社会的には,会社法に則った運営をしていることを公示することであり,それが「信頼」なのである。

「応分の負担」を嫌うのであれば,個人事業者のままで経営すればよいであろう。
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会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案が公表

2019-01-17 12:58:07 | 会社法(改正商法等)
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第19回会議(平成31年1月16日)開催
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900391.html

 要綱案(案)が公表されている。これで,確定。

 2月の法制審議会総会で承認され,法務大臣に要綱が答申される運びである。
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2022年4月 成年年齢引下げ 18歳で大人! できること。できないこと。

2019-01-17 10:56:17 | 民法改正
政府インターネットテレビ
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg18321.html

「成人の年齢が18歳に引下げられます。親の同意を得ずに、様々なことができるようになりますが、その分責任を負うことにもなります。一体何ができて、何ができないのか。女優・声優の春名風花さんがわかりやすく紹介します。」

cf. 民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)(平成30年法律第59号)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00218.html
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弁護士1人の弁護士法人において,当該弁護士が業務停止処分を受けた場合

2019-01-17 09:28:22 | いろいろ
 現在,専門資格者法人においては,弁護士及び社会保険労務士は,いわゆる1人法人が認められている(弁護士法第30条の8第1項及び社会保険労務士法第25条の11第1項には,司法書士法第32条第1項のように「共同して」の文字がない。)。

弁護士法
 (設立の手続)
第30条の8 弁護士法人を設立するには,その社員になろうとする弁護士が,定款を定めなければならない。
2・3 【略】

司法書士法
第32条 司法書士法人を設立するには,その社員となろうとする司法書士が,共同して定款を定めなければならない。
2・3 【略】


 弁護士1人の弁護士法人において,当該弁護士が業務停止処分を受けた場合は,如何?

 この場合,当該弁護士は,社員の欠格事由に該当し(弁護士法第30条第2項第1号),「社員の欠乏」(弁護士法第30条の23第1項第7号)に該当して解散となり,当然に清算が開始する。

弁護士法
 (社員の資格)
第30条の4 弁護士法人の社員は、弁護士でなければならない。
2 次に掲げる者は、社員となることができない。
 一 第五十六条又は第六十条の規定により業務の停止の懲戒を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者
 二 第五十六条又は第六十条の規定により弁護士法人が除名され、又は弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合において、その処分を受けた日以前三十日内にその社員であつた者でその処分を受けた日から三年(弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合にあつては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの


 弁護士1人の弁護士法人において当該弁護士が死亡した場合のように,「継続」することは認められていない(弁護士法第30条の24参照)。社会保険労務士法人についても同様である(社会保険労務士法第25条の22の2参照)。

弁護士法
 (弁護士法人の継続)
第30条の24 清算人は,社員の死亡により前条第1項第7号に該当するに至つた場合に限り,当該社員の相続人(第30条の30第2項において準用する会社法第675条において準用する同法第608条第5項の規定により社員の権利を行使する者が定められている場合にはその者)の同意を得て,新たに社員を加入させて弁護士法人を継続することができる。

cf. 平成30年12月27日付け「弁護士1人の弁護士法人において,当該弁護士が死亡した場合」


 したがって,例えば,1週間の業務停止処分が実質的には「解散命令」に等しいわけで,厳格に過ぎるのではないだろうか。

 ちなみに,司法書士法人については,1人法人は認められておらず,司法書士法が定める解散事由として「社員の欠乏」は列挙されていない(司法書士法第44条第1項,第2項参照)が,社員の全員が同時に業務停止処分を受けて社員が欠乏となった場合には,当然解散になると考えられる(小林昭彦・河合芳光「注釈司法書士法(第3版)」(ぎょうせい)376頁参照)。
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