法務大臣閣議後記者会見の概要(平成30年6月29日(金))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_01020.html
〇 ハーグ条約実施法見直しに関する質疑について
【記者】
今日,民事執行法部会が開かれますが,ハーグ条約実施法の見直しに当たって,子どもの利益を確保する上でどういった点に留意するお考えかお聞かせください。
【大臣】
一般に,子の引渡しの強制執行に関する規律については,強制執行の実効性を確保するとともに,子どもの心身の負担に配慮する,そして子の利益の保護を図るという観点が重要であると考えています。
法制審議会民事執行法部会では,現在,このような観点から調査審議が進められているところです。
具体的には,強制執行をするための要件として,子と債務者が共にいること(同時存在)を不要とする一方で,債務者の不在により,子が執行の現場で事態を飲み込むことができずに恐怖や混乱に陥るといったことのないように,債権者の出頭を原則として必要とするといった方向で検討がされているものと承知しています。
ハーグ条約実施法についても同様に,子の利益の保護を図る観点を踏まえた検討をする必要があり,具体的には,債権者の出頭を原則として必要とすることにより,子の利益の保護が図られることになるかといった点が,検討の対象となるものと理解しているところです。
このように,子の引渡しや返還をめぐる強制執行制度の見直しは非常に重要な課題であり,強制執行の実効性を確保しながら,子の心身の負担に最大限配慮し,子の利益の保護に資する規律が設けられるよう,同部会において充実した調査審議がされることを期待しているところです。