おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

さらっと

2011-02-01 | ■ 業 務 エ ッ セ イ

寒い日が続きます

本日の当地は やや しのぎやすい
なんてェことをのたまうと 豪雪・極寒の地の方に
申し訳ない気がします
あちらこちらで たいへんな苦労をなさっている
かとおもえば 火山での苦労

わたしも 北海道の有珠山噴火の折 空を覆う火山灰の連日で
想像を絶する日々を乗り越えた経験をもっています
今思い返しても すごかったネ と 昨日も補助者さんと話したことでした
一日も早い終息を と 祈っています




さて 相談ごとの多い事項に
遺産分割
と 
離婚
があります

両者に共通の究極の?質問は
『どうにも決着がつかないときの最終シーンは
どんな具合になるのでしょう?
確か 離婚審判事件そのものズバリというのは無いけど
遺産分割審判はある?とか 聞いたことはあるのですが?』



“最後は裁判で”
という答えで済ませたい とは思いますが
街の法律家 としては 自分自身でもものたりない
お客さんも キョトン
そうでしょう 有料相談で “裁判で決着です”という言葉で
事務所をあとにしても なんとも相談に見えた方は むず痒いでしょうから




遺産分割事件は家事審判の乙類事件としてあります
離婚事件そのものは 乙類には記されていません

つまり 遺産分割は審判事件として本来非訟事件
離婚事件は 本来訴訟事件 なので 裁判が本則
(条文からして やや 疑義がありますが 規定上はこういう
理解でよいのでは? と 思われます)

何を言っているの? と お思いでしょうが
もう少しだけ お付き合いを




民法906条
 遺産の分割は、
遺産に属する物又は権利の種類
 及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態
 及び生活の状況その他
 一切の事情を考慮して
これをする。

民法770条
 には 裁判上の離婚の要件が 一応 列記されています


つまり 遺産分割は裁判にはそもそもなじまないのです
裁判とは 三段論法です
法律(解決の基準)があって
主張する事実があって
事実が法律にのっとってのものなら 一定の権利義務を認める
という仕組み
ところが そもそも民法906条は スパッとした解決の基準が
よみとれない(・・・その他一切の事情を考慮して・・・)

裁判(せまい意味での)というものを利用して遺産分割処理を
となるとどういうことになるでしょう
そうなのです
攻撃方法を自己責任で集めてきて 双方 敵の武器の価値を
削り合う そういう仕組みでは事情を組み込んでの遺産分割の処理は困難すぎるのです

そこで 国家が後見的に(ごく普通に言うと 面倒をみる・お世話をする)解決に加わるという仕組み 
つまり 訴訟でなく非訟事件たる 
審判 という解決方法を利用することになるのです

もっとも 家事審判法にも離婚に関して条文はあります
(24条など)
が これも離婚自体には実質的な合意ができあがっていて
子供の未来についてのことなどのことで国が後見的にかかわれるような場合のことに登場するのです



どうしてこんな記事を載せたか

それは 
こうしたことを漠然としてでも話すと
いたずらに?自己の主張による攻撃だけでは物事は解決しづらく 相談者の方が想定しているような自分の主張を存分に判決に反映させきるという そのような仕組みを
そもそも利用できない場面 も あるのだ
というようなことを知っていただける可能性があり
そのことが しいては事の解決に役立つかも知れないからです


裁判調停審判 をひとくくりに裁判として説明すると
なんのことか 理解に苦しむことになります
いわゆる 広い意味の裁判 せまい意味での裁判
というものがあるのだ ということ

街の法律家としての行政書士の一員として
できる限り せまい意味での言葉を使うことに徹しているつもりですが
なかなか むずかしいものがあります
かえって お客さんが混乱してしまうような場面もあるのはたしか そんなときは臨機応変に
しかし 大事な 肝心なところを少しでも理解しておいていただくためには 単に言葉の問題だ なんぞとして
安易に避けて通ることを慎まねばなりません
プロなのですから




お聞きになったことありますか? 
ADRということ

行政書士も 
ADR(裁判外紛争処理)に関わらせていただいています
さらに 法律学習を進めなくては 真の行動ができません


ということで 本日は 硬い話でスミマセン

もう 一月が去っていってしまいました


<やや 疑義は承知で記した部分がありますが
読みやすくなれば との主意からです
どうぞ お許しを願います>