BさんはAさんに 債務 がある
Aさんは Bさんの事情を知っているし モトモト優しい人なので
Bさんは その債務のことは さほど 気にすることなく過ごしてきている
債権譲渡禁止・制限特約という仕組みは 弁済の相手の変更をできなく
しておいて固定しておく ということなので 債務者の利益になる
(上の例でいうと 債権譲渡禁止の約束があれば Bさんとしては
自分の債務の履行は A さんに と決めてあるので 安心だろう)
債権は譲渡自由が原則
突然 『あの債権は 譲ったので よろしくね』
などと言われたりすると とても困ったり不安になることもあるだろう
“ 債権を譲り受けた人はドンナ人なのだろう 取立てが厳しい人だったり
すると・・ イヤだな ”
というような場面も 特別の約束がない場合などでは あり得る
繰り返しになりますが
債権者と債務者間で <あの債権については 第三者に譲渡しない>と
約束したなら Bさんは安心
そうして 譲り受ける者が その約束を知っていたり ウッカリ度が大きい
過失(重過失)で新しい債権者になろうとしても 譲渡の効力は生じない
(無効)とされるなら Bさんは 安心
でも Aさんとすると 債権を譲ることによって資金の調達をしたくとも
禁止の約束があるために譲ることができないので困るケースもある
<譲渡できないことにしよう>と相手に言えるくらいなので 債務者の方が
債権者よりも いわば 上位にある場合がある
(大手メーカー大企業 対 部品製作供給中小企業
官 公 庁 対 公共工事請負人
など)
そうしたこともあって
改正法では
譲渡しない という特約があったとしても C への譲渡は無効でなく有効
としよう
でも 約束を知っていた(悪意)者 や 重過失のある者に対しては Bは
債務の履行を拒めたり 履行を債権者であるCではなくAにできることを認
めることにしよう<約束違反の譲渡を 無効とする必要はないこととしよう>
と決められたのです
要するに 簡単に言うと <譲渡禁止の債権であっても譲渡をできるだけ
認めることのほうが イロイロと 妥当な結論を出せそうだ> ということ
になったのです
チョット 複雑 ? な内容に変わっています
最大のポイントは 特約違反の譲渡も 有効 としたこと
ただ 悪意・有重過失の者には 履行を拒んだり モトモトの債権者に履行する
ことを認める
としたのです
債権は、譲り渡すことができる。
ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効
力を妨げられない。
は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務
者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他
の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
る第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履
行がないときは、その債務者については、適用しない。
もしない場合の 譲受人のための規定
ということで
改正とはいっても 文語体から口語体へ とか 用語の呼び方を変える とい
うようなレベルのものから 仕組みの内容を変える その変え方も 基本から
ガラリ と 変える
というようなものまであるので 先日の 相続財産の対抗関係といい この債
権譲渡のことなど
そうとうに変わってしまうものも 多く含まれているので 注意が必要です
ただ [債権譲渡]において 《 預金・貯金債権譲渡》 については 上記の
扱いはなく
以前どおり
の仕組み です
この部分は [巷の そうして企業の 取引の円滑さ・安定性を大事に考えた]
というところでしょうか
預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権(以下「預貯金債権」という。)
について当事者がした譲渡制限の意思表示は、第四百六十六条第二項の規定にかかわら
ず、その譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかっ
た譲受人その他の第三者に対抗することができる。
押債権者に対しては、適用しない。
以前にも数度記していますが
遺産分割においても
預金・貯金債権は 金銭債権(原則は 可分債権として相続開始時に相続分に
応じて権利を継ぐとされるので 遺産分割の対象にならない)
にもかかわらず 遺産分割の対象になるとして 可分債権は遺産分割の対象に
はならないとされるルールの 例 外 になっています
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に
第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額
(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯
金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその
権利を行使することができる。
この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が
遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
預金債権・貯金債権 との文字が登場したなら 各種試験においても そうした扱い
のことを想起し 注意しなければならないと思われます