レイテ戦記 [大岡昇平 著 中央公論新社 発行]
やっとのこと 読了
手強くて 愛想もない それで長いことかかって
なんとか かんとか
でも とても なぜかしら 惹きつけられた
読後感 などという大それたことは到底記し得ませんが
思っていることを 短文で羅列してみたい衝動にかられました
まず 膨大な情報の駆使に関し
著者一人で資料を集めたのか チームがあったのか
著者の人柄を思うと興味深い(失礼をば覚悟で
いろいろな方面からの情報や経歴 作品からの印象からして おおよそ 一人で
采配していたと感じるのだが・・・)
もし そうならば その気力・体力に敬服 敬服
運命感 というものの捉え方を 文章をもって 具体的かつ
赤裸々に かつ 説得ある現実を見せつけることで
ボンクラな私ごときにもたたきつけ 示してくれた
人間の 事実 真実への希求のものすごさを 一つの現象(戦争もしくは 実戦場を舞台にした圧倒的規模のもの)を例に挙げるようにして とことん 追求している
なによりも
どのような批判や非難がでるやもかかわらない分野に敢然と潔く自己の観察を貫き通し考えを表し 文士魂を見せつけてくれている
(死者の そうして その遺族の 国家の 天皇の 陸海空軍の参謀中枢部の名誉にもつながっていく 誰しもが避けがちな傷にも 恐れなく意見を言い
日本・アメリカ国・フィリッピンの 戦中の そうして戦後の国の生きざまにまでも関心を向け 自己意見を自己責任で披瀝)
どこかの国の 為政者さんたちとは
明らかに ナニカガ違うような・・・・
人として 男として 文化人として 学識経験者として
大岡昇平さんは わたしの好きな武田百合子さん一家(旦那さんは武田泰淳さん)とも 富士山麓の棲家などでの交流があり
その様子は 百合子さんの 『富士日記』にも登場しています
そんなこんなで 大岡さんの作品にも 大いに興味があります
それと 或る時 何処かの湖?を背景にタバコを
面倒そうにふかしている?大岡さんの写真から
文士 という言葉を連想した折
寅さんシリーズ(9作目 柴又慕情)に登場の
宮口精二さんの演ずる 文士を重ねてイメージしてしまうのが常になってしまっています
どうってことないことなのですが・・・なぜか
おそらく 私の理想の職業のトップクラス
だから でしょう
チャブ台の上の 安っぽい原稿用紙を前に
呻吟しながら 案を練っている ボサボサ髪の
売れない 巷の 一 文士(小説家とか作家さんではなく
あくまで 文士 です)
あこがれ でした
笑われそうな夢ですが
ほんのわずかの小品 一編
残して あの世とやらへ
というのが 私の夢の一つです
我が家の裏庭の 糸瓜とゴーヤの緑のカーテン
補助者さんが植えてくれました