「雇用法改正 人事・労務はこう変わる」
安西愈著
日本経済新聞出版社 860円+税
労働法改正が相次ぎ、ニッポンの会社の人事部も就業規則の改訂に大わらわ。
高年齢者の雇用対応、有期労働者の雇用契約、派遣社員の事務手続・・・たいへんだと思います。
特に、労働契約法の施行により、今までどちらかというと判例法だったものが明文化され、一見労働法制も分かりやすくなったように思います。
しかしながら、実務的には逆・・・労働者の権利主張により現場ではさまざまなトラブルが顕在化しているようです。
本書は、労働法の実務の第一人者、安西弁護士の最新刊。
改正三法を最新の判例などを交え、具体的に解説されています。
労働法の基礎知識がないと読みこなすのに少し苦労されると思いますが、
六法片手にページをめくれば概の理解は得られると思います。
目次
第1章 日本の雇用が変わる
第2章 労働契約法の改正 無期雇用転換をめぐって
第3章 有期労働契約の雇用雇止め法理を法制化
第4章 期間労働者への不合理な労働条件の禁止
第5章 労働者派遣法の改正
第6章 高年齢者雇用安定法の改正と労働契約
著者は、同書の中でさまざまな意見、問題を提起されており、興味深く読むことができます。
労働契約法の改正が日本の雇用体系を混乱させていること、民事的に採用の自由を制限していることなどロジカルに、かつ辛辣に解説しています。
また、高年法では、会社は同法に従い定年延長の制度を整えなければならないが、高年者個々人を雇用する義務はないといった新発見をすることができました。
労働法と行政法の中間グレーゾーンまで分かりやすく解説してあります。
人事部員、必読の一冊だと思います。